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 玄関を閉めるのと同時に、ぎゅーっと抱きしめられた。 「はー……」 「ご、ごめんね。変なとこ見せちゃって。でも、ありがと。助かった」  強く押しのけられなかったことを、少しだけ悔やむ。  佑哉が来てくれなかったら、なし崩しにどうにかなっていたかも。  上級生だから強く言えないし、女子だから突き飛ばすわけにもいかなくて……。  佑哉は僕の髪を優しくなでた。 「怖い思いしましたね」 「うん……。なんか、理不尽に変態みたいにされるのかなっていう恐怖が」 「ぶ。でもまあ、そうか。痴漢冤罪みたいなもんですよね」 「うん。断ってそんな風に言いふらされたら、人生終わるなとか」  途端、へなへなと力が抜ける。  佑哉は「おわっ」と言って、僕の体を支えた。  そして、なんの断りもなしに、ついばむように何度かキスをする。 「俺は頭の堅い先輩が大好きですよ」 「ん……」  ブレザーの二の腕あたりにしがみつき、キスに応える。  安堵と、好きな気持ちがぶわっと迫り上がってきて、泣きそうになる。 「佑哉、ごめん。ゆうや、好き」 「あはは。大丈夫ですよ。変なことにならなくてよかった」  佑哉は僕を抱きかかえて寝室へ行き、ベッドの上に放り投げると、そのまま押し倒した。  両手を絡めてのしかかってきて、ドキドキしてしまう。 「このまま抱いてもいいですか?」 「ん、して欲しい」 「いっぱい気持ちよくなってください」  佑哉は、僕の乳首を軽く噛みながら、もう片方の指でピンピンと弾いた。 「あぁ……っ」 「これ気持ちいいよね」 「ん、ふぅ、きもちぃ……」  もちろん俺は女の子みたいに胸はないし、声だって普通に男だ。  なのに佑哉は、何度も「可愛い」とささやく。 「舌の先っぽで、チロチロってするのは?」 「ん、んぅ……ん、」 「トロ顔。気持ちいいね」  佑哉は僕に、うつ伏せになって、お尻だけ高く上げるように言った。  恥ずかしく思いながら言う通りにすると、佑哉は僕のお尻を両手で掴んで……。 「ぁっ、や、なめないで。汚い……っ」 「でもここ、ヒクヒクしてますよ」  すぼまりの周りをぺちゃぺちゃとなめられて、悶絶する。  こんなの初めて。  玉の裏筋からお尻の穴までを何度もなめられて、たまにお尻の中に舌が入ってきて、派手に喘いでしまう。 「あぁッ、だめ、あッ、ん……っ、ああっ」 「腰揺れてますよ」 「お腹の中、キュンキュンする……っ」 「じゃあ、先輩が気持ちいいところ触ってあげる」  佑哉に促され、正常位で足を抱えて開くと、佑哉はローションでたっぷり濡らした人差し指を、そろっと挿れてきた。  そしていきなり、前立腺を触る。 「ああッ」  危ない、イクところだった。  佑哉は目を細めて笑い、同じところを何度も押す。 「あんっ、アッ、あぁ……っ、んっ」 「いつもより気持ちよさそう。なんで?」 「んっ、わかんな、……あぁ、ぁぅ、きもちいぃ」  恥ずかしくて泣きそう。  佑哉は指を増やして、ぐるぐると奥の方まで探ったり、くぱっと指を開いて穴を広げてみたり、いやらしい手つきでほぐしてくる。 「ここに、俺の。挿れるんですよ」 「ん……っ、はぁっ、」 「俺も先輩の中で気持ちよくなりたいです」 「佑哉、あ、あの……」  なぜこんなことを思ったのかは、分からない。 「先輩って呼ぶの、終わりにして?」 「えっ?」 「敬語も。僕はちゃんと、佑哉の恋人になりたいよ」  佑哉は目をしばたかせたあと、溶けそうにふにゃっと笑った。 「なんて呼んだらいい? ひろ?」 「うん。そんな感じ」  佑哉は唇やら頬やら首筋やら耳やら、色々なところに口付けながら、ささやいた。 「ひろ、大好き」 「うん」 「直接挿れてもいい? 中に出したい」 「うん」  めちゃくちゃ、めちゃくちゃドキドキする。  佑哉は僕の足を抱えて、ずぷずぷと埋めてきた。 「あ、あ……」 「すごいエッチな顔してるよ。可愛いね、ひろ」 「……っ、」  名前を呼ばれるたびにゾクゾクする。  奥まで届いて、ゆっくり動き出すと、ぐちゅっぐちゅっと粘着質な音がした。 「あー……やばい。興奮しすぎる。すぐイッちゃったらごめんね」 「ん、ん……、僕もすぐイッちゃぅかも、」  腰の奥が熱くて、ありえないくらい興奮する。 「中、すっごい締め付けてくる」 「ぁあっ、ンッ、……っ、ああぁっ、佑哉……ッ」  佑哉の動きに合わせて、僕も自然と、体を揺らしてしまう。  パンパンと規則正しく肌がぶつかる音がして、徐々にふたりの呼吸も荒くなってゆく。 「あンッ、おく、あんっ、ぁああッ」 「可愛いね。俺の。ひろ」 「ひあっ、あぁあッ、あんっ、もぅ、ぁ」 「イキたい?」  ぶんぶんと首を横に振る。  本当はいますぐにでもイッてしまいそうだけど、まだまだ繋がっていたい。  そんな僕の気持ちを察してか、佑哉はふんわり笑って言った。 「いっぱいイけば大丈夫」 「ああ、激しっ、あぁあッ、ンッ、だ……ぁあっ、」 「イッて?」 「あ、やだっ、イッちゃぅ、イッ、ん、やぁ……っ」  佑哉は優しい声色で、僕を呼んだ。 「ひろ」 「ああぁああ……ッ!………っ、……!!……ッ!………… っ」  ビクビクと跳ねながら、胸まで飛ぶくらい、激しく射精する。 「ん……、俺もイキそ……。ひろのエッチなお尻、中に。いい?」 「んー、んぅっ」  佑哉はスパートをかけるように激しく腰を振って、その動きと表情があまりに色っぽくて、僕はまた射精した。 「ぁああッ!!」 「ひろ」  息が止まりそうなくらい、強く強く抱きしめられた。  お風呂を済ませ、裸のまま布団に入った。  ちょっとぜいたくだけど、今夜は暖房を高めにして、このまま眠るつもりだ。 「ひろ、こっち見て」  佑哉が指を絡めてきたので、僕はそっと握り返して、ブラウンの瞳を見つめた。 「これからは、ちゃんと俺にも甘えてね。ふたりのときは、先輩後輩じゃないんだから」 「うん。佑哉もだよ。もう委員会ないからやることないし、僕の生活の優先事項1位は佑哉に……」 「受験」 「う」 「先輩じゃなくなっても、受験生は受験生」  佑哉は僕の首筋に顔を埋めながら笑った。 「ちゃんと俺にもお世話焼かせてね」 「うん……」  自分でお願いしておきながら、めちゃくちゃ恥ずかしい。  思えば、佑哉は、セックスのときは割と敬語ではなくなっていて、甘やかすみたいにいっぱいエッチなことを言ってくれた。  ……日常で敬語が外れたら、通常状態でこんな風に甘々にされてしまうのか。  気づかなかった。  いや、大切にしてもらえるのはすごくうれしいんだけど。 「……ひろって呼んでる人、他にいる?」 「いない。花園の常連さんたちがひろちゃんって呼ぶくらいで、あとはみんな呼び捨て」  ひろ、ひろ、ひろ……  1分くらい呼ばれ続けて、恥ずかしさのあまり、ぽすんと背中を叩いた。

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