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体育館で行われる始業式。 今日もまた忙しくなりそうだ。 「隊長、親衛隊の配置完了致しました。」 「そう。なら、会長様にお伝えしに行きます。」 僕は三年生の教室まで会長様を迎えに行く。 ここ、青嵐学園は御曹司が集まる金持ち学園。親衛隊は顔良し家良し頭良しのより優れた人間達の為にある集団。彼らのサポートが親衛隊の役目だ。 「会長様、ご準備整いました。」 「分かった。」 席を立った会長様の後ろにつく。 一条浩也。 彼は古くからの名門であるお家の後継でいらっしゃる。生徒会長の座に君臨する彼の親衛隊の数は学園一位。 みな、会長の不況を買わないように一歩引いて見ている。僕もまた、横に並ぶ事はなく、一歩後ろに下がり歩く。しかし、たった数名のみ会長様の横に並べる方々がいる。 「一条君、僕は木島先生に頼み事をされたので、始業式に出られなくなりました。」 生徒会の方々である。目の前には副会長職である西園寺雅義が親衛隊を連れ、会長様に話し掛ける姿があった。 「分かった。お前の仕事は他に回そう。」 「ありがとうございます。」 このお二人が無表情にやり取りする。別段仲の悪いわけではないが決して良い関係とも言えない。それがこの学園で噂されている彼らの関係だ。 でも、僕は知っている。彼らは幼馴染であり、ライバルであり、また心許せる唯一の存在だということを。 「副会長の仕事はアキに任せるか。」 会長様が携帯を胸ポケットから取り出し、連絡を入れる。その内容は急遽始業式に出られなくなった副会長様の仕事についてだ。 副会長様の仕事は始業式の片付けの指示だけだったと思う。詳細を渡せば誰でも出来る仕事だろう。 「会長様、お時間が近いので…。」 「ああ。」 一言だけ呟き、体育館へ向かった。

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