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問題は始業式が終わった後に発覚した。 副会長の親衛隊隊長から送られたメールは信じ難い事実が書かれていた。 『副会長が転校生にキスをした。』 その一文でこれは荒れると察した。そして、転校生は親衛隊の標的になることも考えずとも理解できる事実だった。 「それで、何故そんな事になったのですか。」 「君は相変わらず余裕だよね。そりゃ、君が好きなのは会長様だろうけど。…僕は遠目しか見てないんだ。いつもみたいについてくるなって言われてさ。何かボソボソと呟いて、転校生が暴れ出したかと思えば西園寺様がキスしてて。でも、はっきり見て。」 「誰かに話しましたか?」 「たぶん、もう1人の子が話してる。」 そうなれば、一気に学園中に噂が広がるだろう。きっと制裁はすぐに始まる。 「様子見が一番でしょう。無闇に制裁を行うと会長様や副会長様にも迷惑になります。抑えて下さい。」 「僕はこれでも抑えてる方だよ。でもさ、もし君が会長様のキスシーンなんて見たら嫌だろう。」 「嫌に決まってます。それでも、この学園に転校してきたということは、かなりの財閥のご子息。下手に手を出せばこちら側に被害が及びます。副会長様も理由なしでは人と触れ合う事はしないでしょう。何か理由があるはずです。そう、信じましょう。」 黙ったのはきっと副会長様のお心を信じているからだろう。 僕はそっと席を離れた。 しかし、また事件が起こる。 今度は会長様が自らの手で転校生と触れる、そんな事件が。

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