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13 【side アキ】

「ねぇ、なんで遊園地貸切にしたかったの?」 「なんでしょう…。遊園地ってみんなが無条件で笑える場所だからですかね。 だから、きっと遊園地に行けば自分も幸せになれると思ったのでしょう。貸切なのはたぶん…沢山のアトラクションを独り占め出来るから、普通よりもっと笑えるだろうからですかね。」 「それってさ、1人で行くの?」 「昔はそのつもりでした。でも、今は誰かと一緒に行きたいです。」 誰かとは会長なんだろう。 会長と隣り合わせで笑いたいんだろう。 手に取るように分かった。 でも、敢えて言わない。 敢えて、知らないふりをする。 「ふーん。なら、俺が付き合ってあげる。」 「え?」 「一緒に行ってあげるって言ってんの。約束が果たされないからいつまで経っても会長が忘れられないんだよ。なら、約束、というか夢?を叶えてさっさと会長なんて忘れなよ。」 「いいんですか?」 「まぁ、俺はこれでも株で結構稼いでんの。親の金でもないし、なんなら遊園地貸切もしてあげられる。」 「アキさん、どうしたんですか?あなたが僕に優しくするなんて珍しい。」 「何行かないの。」 「いえ、とっても嬉しいです。」 ふわりと笑った親衛隊長。 初めて見る喜びの笑みに俺は驚いた。 てっきり会長と行きたいからと断られるのかと思った。仮に俺の提案に頷いたとしてもここまでの喜びを感じるとは思わなかった。 この親衛隊長はやはり俺には理解出来ない思考回路をしている。 「それじゃあ、貸切出来そうな遊園地探しとくから。」 俺は親衛隊長をその場に残し生徒会室に戻った。 まだあのふざけた転校生はいるだろうか。 まぁ、でも、今なら耐えられそうだ。

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