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親衛隊を辞め、一ヶ月が経とうとしていた。 隊長職から離れた僕は何かに打ち込めるものもなく、ぼーっとする毎日を過ごしていた。 ただ、アキさんが遊園地に誘ってくれてからは世界が急激に明るくなった。 遊園地に行くのが始めてというのもあるけど、これでやっと会長様のことを忘れられるのだと、これでやっと僕は幸せになれるのだと淡い期待で胸がいっぱいになった。 しかし、あきさんと遊園地に行く約束をしてから数日後のこと。 生徒会から驚きの発表がされた。 『今年の新入生歓迎会は鬼ごっこ。鬼と逃げ役に分かれて行われる。逃げ役は制限時間まで逃げ切れたら勝ち。鬼は30人捕まえることができたら勝ち。勝てば商品が与えられる。』 その商品内容に多くの生徒が注目した。 『商品は、食券一年分。 または生徒会との遊園地デート(貸切)』 そして僕もまたそれに驚きを隠せずにいた。 つい先日アキさんと約束した貸切遊園地。 約束した日にちと商品の貸切遊園地の日にちが被っていた。 急いでアキさんに真相を確かめたところ、彼は諦めた口調で呟いた。 「ごめん、悪いとは思ってる。ただ、転校生に遊園地の貸切を調べてるところ見られちゃってさ…。それで騒ぎ立てられて、副会長がそれに乗っかって、新歓の商品に悩んでたところだったからちょうどいいって…。本当にごめん。貸切の件はまた探しとくから。」 「アキさん、僕、逃げる役でした。頑張って逃げ切りますね。」 「えっ?それって…。」 「僕はどんな形であれ遊園地に行ければいいんです。楽しみにしていたのにそんな事で潰されるのは嫌なので。頑張ります。その代わり、僕と遊園地まわってくださいね。」 「当たり前でしょ。それなら、新歓頑張って逃げてね。」

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