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観覧車の前にはアキさんとそして、会長のデート相手であった子がいた。
会長のデート相手の子は見知った顔だった。
「野崎君…。あなたが会長のデート相手だったのですね。」
そこには元副隊長の姿。
バスの中では見かけなかった。
「この辺りに実家がありまして、先に来させてもらっていました…。あの、隊長っ、僕!」
「野崎君。私はもう隊長ではありませんよ。」
「…っどうして、どうして隊長職を降りたんですか。」
「僕が隊長をしていい器ではなかったからです。」
「あなた以外に誰に器があると言うのです。僕は、僕は隊長がいるから、いるから、隊長だから、だから…自分の考えも憎しみもすべて捨て去って応援してたのに…。」
「野崎君…。」
「まぁ、落ち着きなよ。野崎文。隊長、会長とのデートどうだった?君の顔から見るに言いたいことは言えたみたいだね。」
アキさんにそう尋ねられて、大きく頷いた。今はただ晴々とした気分だ。
「はい。お気遣いありがとうございます。」
「そう。野崎文。隊長は失恋したんだ。そんな彼を気遣わないといけないでしょ。」
「それならっ、僕も辞めます。隊長がいなかったら隊にいる意義は感じられない。これから親衛隊もどうなって行くかわからないのに。」
「野崎君…。残るか残らないかは君が決めることです。しかし、僕が君を残るように促したのは、君が会長様を本当に慕っていると知っていたからですよ。」
「隊長…。」
ゔっ、と泣き出した野崎君の涙を拭う。
大丈夫ですよと言うと、野崎君は僕の胸の中で今度は声をあげて泣いた。
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