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2年前ーーー 「おーい!こーやー!!」 一条浩也は聞き慣れたその声に後ろを振り向いた。 坊主頭の少年。 そこにいたのは見慣れない頭をした幼馴染だった。 「洋太郎…。なんだその頭。」 先週見た時は確かにあった髪が剃られている。この学園に野球部は存在しない。 頭を剃るような部活もない。 目の前の幼馴染の趣味でもないだろう。 「あー、これ?これは、園華ちゃんの為に剃ったんだ。」 八重歯を見せて、にししと笑う。 園華、といえば浩也の元婚約者である。 「園華の趣味なのか…。」 「ち、違う違う。園華ちゃんに見せたらむしろ、何故そんなことをしたのですか。って青ざめてたよ。 これは、園華ちゃんのお父さんに挨拶する為。この前園華ちゃんの家に行った時にそんなチャラけた男に園華はやれん。って言われたからさ。 誠心誠意見せてやろうってことで剃ったの。」 その頭の悪そうな発想に、園華の父も呆れたことだろう。 まぁ、馬鹿だが悪い奴ではないことは分かったはずだ。認めて貰えるのももうすぐだろう。 「お前が園華に一目惚れした時のことを思い出すな。どこに惚れたんだって聞いたら胸って即答したあの瞬間を園華の父に見せてやりたかったな。」 「はぁ!そんなの終わったことだろ。出会いの形は人それぞれなの!それに、お前が園華ちゃんを傷物にしたんだから、お前に言われる筋合いはない。」 「傷物って言うな。」 「捨てたのは間違い無いだろ。たくっ…。で?初恋のあの子には出会えたのか?」 「ちっ…。」 「舌打ちすな。」 金持ち学校と有名なこの学園には、多くの金持ちの子息が集まる。 あの社交会であった彼は、同年代であった。もしかしたらと期待を込めて入学した。 しかし、“ハノ”に近しい名前の学生はいなかった。 「あーあー、じゃあ俺が先に青春の一歩を踏み出した訳だな。あっ、でもお前すでに親衛隊がいるんだっけ。」 「親衛隊か…。あれは勝手に作られてただけだ。活動もよく知らねぇ。」 「ふーん。そんなもん。まっ、お前のことはいいや。俺は放課後は園華ちゃんとデートだから。まっ、お前も頑張って初恋の子見つけるんだな。」 にひひと笑うと、洋太郎はその場から走り去っていった。

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