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夏休み。
アキさんや親衛隊の子、それに野崎君とも遊んだ。兄の仕事の手伝いも慣れ充実した日々を過ごした。
夏休み最終日。
兄に連れられ、社交会に赴いた。変わらぬ煌びやかさ。憎いほどその光は眩しい。
「ミハノ、私はこの後柊の会長に挨拶をしてくる。お前は自由にしていなさい。」
「はい。」
「…ミハノ、お前は学園で親衛隊をしていたわりに社交会は苦手みたいだな。少し笑みが引き攣っている。外に出て休んで来ればいい。」
「はい。」
兄はふっと笑って、その場から立ち去った。本当に、兄には敵わない。嫉妬することすら烏滸がましい。
兄の言葉通り、外に出た。整えられた庭は、花々が咲き誇っていた。のんびりとその庭を歩いて見る。
そう言えば、会長様と約束をしたあの日も今日みたいに花を見て、元気づけられていた。
「あの日は寒かったけれど…。」
夏休みも終わる。
秋の匂いがする風を受け、下げていた目線を上げた。
「…っ、会長様?」
そこには会長様がいた。
その瞳は少しだけ揺れている。
「お前はなぜ、ここに…。」
「す、少し疲れてしまいまして。すみません、僕はもう戻ります。」
「待て。話がしたい。」
「話…ですか?」
会長様が一体何を…。
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