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◇ 「…なに荒れてんの、」 入ってきたのは同じ世話係のお坊ちゃん。 美人だとひとりの客に囲われている奴だった。 「……べつに、何でもねぇよ。」 「派手な音聞こえたけど…ああ、これ投げたの?」 うわ、割れてるじゃん、と呆れながら転がっていた玩具を拾う。もう動かないね、と淡々と話しながら表のゴミ袋に捨てた。 「…いちいちあんたが気に病むことじゃないよ。」 「っ…るせぇな…わかってるよ…、」 でもいくら何でも、こーんなちっこいガキがよ… と思ってしまって頭をガシガシ掻いた。 いまだ気を失っている子どもにそっとバスローブを着せ風呂場を出ると、仕事の早いもう1人はすでにシーツを替え窓を開け放ち換気していた。 大量の玩具はゴミ袋にぶち込んで。 「あーあ、あの客出禁になんねェかな…」 「……お得意様だからね」 「期待だけさせといて、身請けた事ねぇじゃねぇか」 「言いなりにでもさせたいんだろうね…タチが悪い」 「…っあ"ー、伝えたくねえ…!」 やっと解放され眠っている子供が起きた時、 この生活から抜け出せない真実を告げることが一番酷だ。 ーーー 実際に目が覚めた時。 早い方がいいでしょともう1人が起き抜けに話した途端、少年ははらはらと泣いてしまった。 上手い話がある訳ないとは思っても縋りたかった、 そういう子供はまだたった15歳で。 涙を拭う両手首の、痛々しい痕に目がいく。 ……あ"ー…本当、やってらんねぇ……。 こんな場所居たくねェよな、と、心の中で 何千回目かも分からない悪態をついた。

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