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ぽやぽやした様子に呆れながら頭を撫でる。
本当に子供だ…年相応で、無理もないけど。
ご、ごめんなさい、と小さく謝る子供の顔色は
羞恥もあってかずいぶん良くなっていて安堵する。
先程までは青白いを通り越して紙みたいで、そのまま消えて無くなるんじゃないかと思った。
「…あー、とにかく。あまり気落ちしないで」
「……」
「こんな店に来る客はロクな奴がいないことを理解して。優しい人も、所詮は客だから。買ってるからと無茶を強要してくる奴も多いし」
「……」
「…借金を返せるまでの期間だけだから。
今は辛いだろうけど、耐えてね。」
普段励ますことなんてない僕には不慣れな言葉はむず痒くて、うまく言葉にならない。
けど今にも死にたいとか言い出しそうなカオをしていたこの子を放ってもおけなくて。
「…あなたは、どれくらい居るんですか…?」
「……2年、くらいかな。」
嘘だ。ほんとは6年。
この子くらいの頃、僕もここに来た。
「…いつ出られそうですか?」
「さあ。あと1年とかじゃない」
終わる目処なんて無いし、ある人に飼われた僕にとってはきっと、飽きるまであの人の所有物だろう。
「……いい? とにかく、さっき見たのを参考にして。知っておけば対応できる事もあるし、そのうち身体も変容して慣れていくから。」
慣れる、なんて、僕自身思っていないけれど。
気休めにでもなればいい。
「あとで幾つか玩具も持ってきてあげる。
…外に声は漏れないから、好きなだけ慰めていいよ」
頬にすり…と指を這わせながら耳元で囁くと真っ赤になっていて、クス、と笑みがこぼれる。
「そういう反応、かわいいから好きだよ。」
「…っ、からかわないで下さい…!」
借金がなくなるまで、と終わりがある事に安堵したらしいその子はほんの少し元気を取り戻していたから、もういいかなと腰を上げる。
うがいもしたいし、戻ろう。
もう一度くしゃりと頭を撫でてから
じゃあね、と言って部屋を出た。
ーー
ちなみにこの部屋には監視カメラが付いている。
日常の自慰行為なんかも隠し撮りされ売り捌かれていることを、あの子たちは知らない。
客を入れる部屋にも付いているし、
そっちは常に誰かが別室で見張りをしている。
といっても "商品が使い物にならなくされそうな場合" しか、客を退場させることはない。
どんな辱めもプレイの一環として片される。
結局のところ、監視したって無意味なのだ。
もちろん先程の行為もカメラに収まっているが、僕に関する一切のデータは、飼い主の権限でそいつにしか渡らないようになっている。
つまり、僕のご奉仕が出回ることは無い。
まったく使えるご主人サマだ。
あとは海外にでも飛んで、二度と現れなければ最高なのに。
来るたび執拗に僕を抱くクソ親父を呪い
置かれた馬鹿馬鹿しい理不尽な環境を恨みつつ
なんの意味もない持ち場へと戻った。
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