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ーーカチ、とスイッチを切る音がして、 鳴り響いていた駆動音が消える。 びく、びく、と痙攣は止まらず、息も絶え絶えに床に潰れていると首輪を掴み顔を上げさせられた。 「反省したか? 」 「っ、……わ、ぅ…」 「それで良い。」 ニヤリと満足げなお客さんに心底安堵して、 恐怖に支配されていた鼓動が少し落ち着いていく。 首輪を放されると、いまだ震える身体はろくに力が入らず床に崩れた。 振動を止めてなお弱い部分を圧迫する玩具は、身体が動く度ずくんと快感を生んだ。 「おい、こっちに来い。」 「…っ…わん…」 気づけばお客さんは移動していて、 椅子に腰掛け、頬杖をついて待っている。 怒られないよう急いで向かおうとするけど、 肘と膝で四足歩行するのは、難しくて。 手足はぎちぎちに曲げられている分血が通いづらいのか、痺れて感覚も薄れてきていた。 揺れる尻尾に羞恥を煽られながら、達して甘く疼いたままの身体をよろよろと進める。 バランスが崩れ倒れても、這うようにしながら必死に距離を詰め、その人の足元に伏せた。 「遅い。」 鋭くなった声色に身体を萎縮させる。 ごめんなさいも言えないから謝るすべがなく、 顔も上げられず身を固くして構える。 でも叩かれたり玩具が動き出すことはなくて、 ーー咥えろ、と、ただ一言命令が下された。 言われた通りにしないと、と思考はすぐ働いて ドクドクと早鐘を打つ重い身体を動かした。 ぐらつく上体を起こし、玩具を押さえないよう正座のように跪きながら、お客さんの膝の間に入る。 でもお客さんの衣服はそのままで、 ズボンを脱ごうとする気配もなくて。 固定された、自分の手も使えない。 どう、したら… 困惑して不安げに見上げると、イラついた様子のお客さんにジロリと見下ろされた。 「少しは考えろ。まだ足りないのか?」 「っ、……」 咄嗟に謝りかけた口を噤んで、 おそるおそるお客さんのソコに顔を寄せる。 ( …おれが、脱がせないと…っ…はやく…) そろっと舌を伸ばして金具を立てる。 それを歯で掴もうと、唇をズボンに押し付けた ソコはお客さんの体温が篭っていて嫌だったけど、またこの人を怒らせるのが恐くて、 ただ無心に顔を押し付けた。

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