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案内された部屋に入って、愕然とする。 そこに居たのは撮影された時の残りの2人と、 ーー椅子に縛り付けられた、大好きな先輩。 「なんで……先輩がここに、」 「遅せーよ、やっと来たか。」 「ッ先輩になにしたんですか…誠矢先輩…!」 駆け寄ろうとすると黒髪の人に肩を抱き止められて。もう片方の手で口を塞ぎ、騒ぐなと低い声で囁かれる。 「気絶してるだけだ、その内起きるさ。」 「んん、っン"…!!」 「煩ぇよ…先輩がどうなっても知らねえぞ?」 「ッ…!?」 至近距離で笑っていない瞳に射抜かれ、一気に冷える背筋に身体が固まる。 もう抵抗しないと見ると手はさっさと口から離れた。 「先輩なー、お前の親父が家に戻らないか見回ってた奴にしつこく付き纏って来たんだと。 お前に会わせてくれないと、警察に通報するだの…一丁前に脅してよ。」 溜息をつき、怠そうに首をコキコキ鳴らす。 「下手に帰してまたウチのこと探られる訳にもいかねぇし、処分しねぇとなんだが…」 「…っやめ、て…」 「お前、やられんなら自分か先輩どっちが良い?」 「………へ…?」 不意の質問に困惑する姿をにやりと見下ろし、 トンッとおれの喉元を指差す。 「責任取れんなら、先輩帰してやるっつってんだよ」 愉しそうに口元を歪め見つめられ ふる…と、痛む身体が震える。 誠矢先輩はバイト先の2つ上の先輩だ。 妹さんの学費のためにバイトしてて、面倒見がよくて、自分もたくさん助けてもらった。 父さんが変わってしまって苦しかったおれを支えてくれた…心配して、こんな所まで来てくれた。 憧れの、お兄ちゃんみたいな、大好きな先輩。 首に回された腕をきゅっと握る。 答えは簡単で、すぐに決まった。 「…っ…おれ…を、好きにして下さい…、」 その答えを知ってたみたいに、 黒髪の人は微かに笑った。

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