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「ッやめろよ…っ、頼む…やめてくれ……!」
ユーリくんが泣いちゃった途端慟哭する先輩とやらを冷めた目で見つめる。
部活でもしていたのか逞しい身体つきも、拘束されれば無意味らしい。
「……っぅ、…ンぐ…ッ、」
ユーリくんはぐずぐず泣きながらも「飲め」と言われれば素直に喉を上下させ、口に溜まった白濁を飲み下す。
えずいて飲めなかった雫は口の端を流れ顎へ伝った。
「…跨れ。自分で挿れろよ、これ。」
にやにやと命令しながら扱いて硬さを増すソレは先走りと唾液で濡れ、光を反射させ凶悪に反り立って。
小柄なその子は怯えたように眉を下げるけど、
目を伏せ、促されるままに腰を浮かすとそっと跨り、誘なうように肉欲を触れ、蕾へ当てた。
「やめろ……!!」
「…っ、んンン…ッ!」
叫びも虚しくユーリくんは声を押し殺し、
口をぎゅっと結び静かに怒張を咥え込む。
瞑る目にしわを寄せ睫毛を濡らし、みちみちと粘膜を割り裂く音が響くあたり、相当苦しそうだ。
…嫌いだ。
こうゆう、正義漢ぶって何もできない役立たず。
「うるっさいなぁ…黙って見てなよ。」
「……!?」
お前がのこのこ考えなしに来るからその後始末させられてんだろーが。そんな嘲りを込めながら、轡を噛ませ思い切り締める。
それでもまだモガモガ騒ぐのがムカついて、
無防備な腹に一発蹴りを落とした。
「ッせんぱ、にはっ…なにもしな、でぇ…!」
悲痛な懇願が聞こえる。
…面白がって突き上げられて、グズグズなくせによく言うよ。
手足も首も痛々しい痕つけて、昨日の疲れで、腰も立たないくらい辛いくせに。
…たかだか蹴り一発、キミより辛いわけ無い。
「 可哀想な子。」
ユーリくんの発言で自分のせいだと察したのか静かになった先輩を捨て置き、ベッドへ近寄る。
涙の伝う頬にキスをするとしょっぱさが口に広がった。
キュ、と瓶の栓を抜き液体を顔に近づけると
使われたことがあるのかヒッと息を呑む。
「ッお薬…は、やだっ、こわい…っ、」
「…大丈夫だよ、ほら… あーん。」
震えて抵抗するユーリくんの唇にそれを挟ませると
瓶を思い切り傾け、一気に中身を流し込む。
少量でも効くその小瓶はみるみる空になって。
「アキ、勝手なことすんな。」
「大雅こそ、たまには優しくできないわけ」
飲ませた薬の効果はすぐに出て、
ぴくぴくと震えだしたユーリくんは耳まで赤く染め、ぽやぁと蕩けた顔になった。
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