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11-1 その夜

ーーー 「……っ……ぅ、そ…、」 どうしよう。 どうしよう。 「ふとん…っ洗わ、ないと…でも部屋、出れな…」 ぐちょ、と重いズボン。 シーツに広がったしみ。 もう小さい子供じゃないのに お漏らし、してしまった。 「…っ…ぅう…、ッ、…っぐす、…」 半ばパニックになりシーツを搔き集めるように取る。 敷きパッドにもそれは染みていて、あわてて洗面所からタオルをとってきてゴシゴシとそこを擦った。 「っ、におぃ……っ、とれな、ぃ…っ」 この窓もない狭い部屋にお風呂や洗濯機はなくて、どうしていいかわからなくて、 ただ泣きながら手が痛くなるくらいそこを擦っていると、部屋の扉がガチャリと開いた。 居たのは世話係の赤髪の人で、 部屋の様子をすっと確認してて、 お漏らししてしまったことも、ベッドも服も汚してしまったことも、バレてしまった、と悟る。 「っ……ごめ、なさ……ごめんなさいっ…」 恥ずかしくて、情けなくて、 しゃがみ込みベッドを隠そうと腕を伸ばした。 「…すぐっ片付け、るので…っごめんなさい…」 「…落ち着けよ。」 「シーツ…、洗濯機、借りても…っ、」 「落ち着けって。大丈夫だから。」 「、…汚しちゃって…ごめんなさい…っ、」 シーツとタオルを抱え込んで泣きじゃくっていると赤髪の人がそっと手からそれを外し、指を撫でる。 「…指赤くなってるじゃねぇか。」 「っ汚い、ので…さわらないで…っ、」 「…気ィ遣いすぎなんだよ。呼べよ。」 そう言って、ひょいと抱き上げられた。 濡れたお尻が赤髪の人の腕に乗って、申し訳なさで騒ぐおれを怒らずに、気にする素振りも見せずに抱いて、お風呂場に連れて行ってくれた。

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