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温泉だ! ②

   食事を終えて、部屋に戻ったら布団が敷かれていた。なんかいよいよ、と思うと心臓が痛くなってきた。 「透瑠、せっかくだから露天風呂入ろ?」  そうだ、せっかく温泉来たのにお湯に浸かってない。  わーいお風呂〜と怜はさっさと浴衣を脱いで相変わらず整った裸体をさらけ出す。  だいぶ慣れたとはいえ。家とは違う空間で見るからか、今からすることを考えてしまうからか、ドキドキする。 「気持ちいいねえ」 「……ん」  怜の横に身を沈めて、川のせせらぎに耳をすませた。少しでも落ち着こうと深呼吸する。 「……緊張してるの?」  怜が近づいてきて、また心臓が跳ね上がった。 「わるか…」  ったな、と言おうとしたら、言葉を被せるように 「――俺も」  手をとられて、怜の胸に当てられる。いつもより早い鼓動を感じる。  なんであんたまで。俺よりか全然、場数踏んでるだろうに。 「怜……っ」  顔を上げた途端、唇を塞がれた。 「ん……んっ」  指と指を絡めて、ぐっと握られる。もう片方の手は、頬から首筋を辿り、胸を掠めて脇腹から背中へ。もうそれだけで感じてしまう。 「あっ」  怜の指が、後孔に辿りつく。入口をやんわり撫で、それから……ゆっくり入ってくる。 「あ……」 「透瑠……」  さっき、自分でも解してはみたんだけど。  やり方だってイマイチ分かんなかったし、今、こうして怜の指が……。 「あ、」  俺のより長いし、太いから。  最初は違和感しかなかったんだけど。 「……大丈夫?」  ちょっと掠れた声で聞いてくる。さっきから怜のものが足にあたって、硬くなってるのが分かる。それを感じて、俺のも反応してしまう。 「は……っ」  堪えるような吐息が聞こえる。  どんな顔してるか気になって目を上げると、熱い視線とぶつかった。  ……怜もこんな顔するんだ。余裕のない、欲に溺れた顔。それを俺がさせてるってことに、興奮してしまった。  ふと、その顔が困ったように眉を寄せて微笑んだ。 「……そんな顔で見ないで。我慢できなくなっちゃう」  俺? そんな顔って、どんな――。 「ん……っ」  考えていると、怜の唇がおりてきて深く口づけられた。差し入れられた舌に、懸命に自分のを絡める。  ――もう、それだけでイキそうだ。  やがて怜が唇を離し、指をゆっくりと抜いた。圧迫感がなくなって、少し物足りなさを感じる。  怜が難しい顔をして言った。 「ダメ。もうこれ以上はダメ。最初はちゃんとお布団の上って決めてるから……」  なんだ、そのこだわり。  くすりと笑うと、怜が真剣な表情で 「だって、俺と透瑠の初めてってことでしょ。そりゃお風呂でのエッチもやりたいけど、最初はちゃんとしたいのっ」  やっぱり、喋ると『残念なイケメン』だなあ。……ま、そこがいいんだけど。  愛しさが増して、前から迷っていた事をチャレンジしてみることにする。 「怜……そこ座って」 「ん?」  風呂の縁に怜を座らせる。きょとんとしている怜の前に膝をついて座り、勃ちあがっている怜の中心を――くわえた。 「透瑠!?」  先端を尖らせた舌先で輪を描くように舐める。それから奥まで――裏筋を舐めながら、上下に動かす。 「あ、透瑠……っ」  俺の頭に乗せた手が震えている。口の中で怜が大きく、硬くなっていく。  初めてだし、痛くするかもって不安だったけど。怜が感じてくれてるみたいで嬉しい。 「とお、る……もう、出るから、離して……」  苦しげに怜が言うのを無視して、逆に口を窄める。 「あ、ヤバいって、出るっ……あっ」  ごぼっと口の中に苦い液体が広がる。そのまま飲み込んで、顔を上げて、怜を見ながら口元を拭った。  真っ赤な顔した怜が、狼狽えている。 「透瑠……大丈夫……?」 「その……待たせて悪かった、から」  目を伏せてそう言うと、がばっと抱きしめられた。 「もう……! 急に可愛いことしないで! 可愛すぎて困る……」  そう言ってキスしてきて。「あ、苦い」って言ってるのがおかしくて笑ってしまった。

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