43 / 55
温泉だ! ②
食事を終えて、部屋に戻ったら布団が敷かれていた。なんかいよいよ、と思うと心臓が痛くなってきた。
「透瑠、せっかくだから露天風呂入ろ?」
そうだ、せっかく温泉来たのにお湯に浸かってない。
わーいお風呂〜と怜はさっさと浴衣を脱いで相変わらず整った裸体をさらけ出す。
だいぶ慣れたとはいえ。家とは違う空間で見るからか、今からすることを考えてしまうからか、ドキドキする。
「気持ちいいねえ」
「……ん」
怜の横に身を沈めて、川のせせらぎに耳をすませた。少しでも落ち着こうと深呼吸する。
「……緊張してるの?」
怜が近づいてきて、また心臓が跳ね上がった。
「わるか…」
ったな、と言おうとしたら、言葉を被せるように
「――俺も」
手をとられて、怜の胸に当てられる。いつもより早い鼓動を感じる。
なんであんたまで。俺よりか全然、場数踏んでるだろうに。
「怜……っ」
顔を上げた途端、唇を塞がれた。
「ん……んっ」
指と指を絡めて、ぐっと握られる。もう片方の手は、頬から首筋を辿り、胸を掠めて脇腹から背中へ。もうそれだけで感じてしまう。
「あっ」
怜の指が、後孔に辿りつく。入口をやんわり撫で、それから……ゆっくり入ってくる。
「あ……」
「透瑠……」
さっき、自分でも解してはみたんだけど。
やり方だってイマイチ分かんなかったし、今、こうして怜の指が……。
「あ、」
俺のより長いし、太いから。
最初は違和感しかなかったんだけど。
「……大丈夫?」
ちょっと掠れた声で聞いてくる。さっきから怜のものが足にあたって、硬くなってるのが分かる。それを感じて、俺のも反応してしまう。
「は……っ」
堪えるような吐息が聞こえる。
どんな顔してるか気になって目を上げると、熱い視線とぶつかった。
……怜もこんな顔するんだ。余裕のない、欲に溺れた顔。それを俺がさせてるってことに、興奮してしまった。
ふと、その顔が困ったように眉を寄せて微笑んだ。
「……そんな顔で見ないで。我慢できなくなっちゃう」
俺? そんな顔って、どんな――。
「ん……っ」
考えていると、怜の唇がおりてきて深く口づけられた。差し入れられた舌に、懸命に自分のを絡める。
――もう、それだけでイキそうだ。
やがて怜が唇を離し、指をゆっくりと抜いた。圧迫感がなくなって、少し物足りなさを感じる。
怜が難しい顔をして言った。
「ダメ。もうこれ以上はダメ。最初はちゃんとお布団の上って決めてるから……」
なんだ、そのこだわり。
くすりと笑うと、怜が真剣な表情で
「だって、俺と透瑠の初めてってことでしょ。そりゃお風呂でのエッチもやりたいけど、最初はちゃんとしたいのっ」
やっぱり、喋ると『残念なイケメン』だなあ。……ま、そこがいいんだけど。
愛しさが増して、前から迷っていた事をチャレンジしてみることにする。
「怜……そこ座って」
「ん?」
風呂の縁に怜を座らせる。きょとんとしている怜の前に膝をついて座り、勃ちあがっている怜の中心を――くわえた。
「透瑠!?」
先端を尖らせた舌先で輪を描くように舐める。それから奥まで――裏筋を舐めながら、上下に動かす。
「あ、透瑠……っ」
俺の頭に乗せた手が震えている。口の中で怜が大きく、硬くなっていく。
初めてだし、痛くするかもって不安だったけど。怜が感じてくれてるみたいで嬉しい。
「とお、る……もう、出るから、離して……」
苦しげに怜が言うのを無視して、逆に口を窄める。
「あ、ヤバいって、出るっ……あっ」
ごぼっと口の中に苦い液体が広がる。そのまま飲み込んで、顔を上げて、怜を見ながら口元を拭った。
真っ赤な顔した怜が、狼狽えている。
「透瑠……大丈夫……?」
「その……待たせて悪かった、から」
目を伏せてそう言うと、がばっと抱きしめられた。
「もう……! 急に可愛いことしないで! 可愛すぎて困る……」
そう言ってキスしてきて。「あ、苦い」って言ってるのがおかしくて笑ってしまった。
ともだちにシェアしよう!