でも、いざ布団の上に二人で並んで座ると。 　また緊張してる、かも。 　横から怜の手が膝に乗って来て……荒い呼吸を間近に感じて。心臓がドクドクとうるさいくらいだ。旅館の布団と浴衣っていうのもいつもと状況が違うせいか、余計に身体を敏感にさせてる気がする。 「あ……」 「透瑠……」 　こういうとき、めちゃくちゃイケメン度が上がるよな。目が離せなくて……狼に捕らわれた兎みたいな気分になって、もう動けなくなる。 　頬を大きな手に包まれて、唇が塞がれる。怜の舌が俺の唇をなぞり、ぬるりと入ってきた。歯の裏を通って舌を絡めとられる。 「ん、ん……」 　いつもより激しく攻められて、俺はもう力が入らなくなる。後ろに倒れそうになったのを、怜の腕が素早く支えて、そのまま布団に押し倒された。 　いつも、されてることなのに。今日は最後までやるって決めてるからか、浴衣姿初めて見たせいなのか。 「……どうしよう……すごく興奮する」 　俺が思ったことを、怜が口にしたので思わず笑ってしまった。 「え、なんで？　ダメ？」 　違うって。俺は怜の首に腕を絡めて、グイッと引っ張った。その耳元にささやいてやる。 「……俺も今そう思った」 　そして驚いたように目を見開いて俺を見る間抜けな顔に、多分初めて俺からキスをした。 あ、看病してるときに勝手にしたから二度目か。 　きょとんとして、時間が止まったように動かなくなった怜が、いきなり抱きついてきたのでびっくりした。 「透瑠っ！……嬉しい……」 「なに、急に……」 「もう、俺ばっかり好きなのかと思ったから……透瑠、いっつもクールだし」 「……感情出すのが下手なだけだって」 「うん……よかった」 　ヘヘ、と笑うと本当に子供みたいだ。……これからエロいことするとは思えない。 「んっ」 　油断していたらまた唇を塞がれた。 　浴衣の合わせから手が侵入してきて、胸の突起を摘む。もう片方は布地の上から爪で弾かれた。 「あ……」 　乳首を弄られただけで、全身が熱くなる。　 　簡単に巻いただけの帯はすぐに外され、浴衣をはだけられる。 　さっき、全裸を見られてるのに。何度も裸にされてるのに。――ドキドキする。 　今から来るだろう刺激を身体が期待して、早く、と神経がビリビリしている。 「透瑠……」 　すでにピンと立ち上がった突起の一つを舌先で突付かれる。 「あん……っ」 　もう一つを親指でグリグリと押しつけられ、刺激がそのまま中心へと流れ込む。　 　怜の舌が筋肉の筋を辿り、臍を舐めて――俺のをくわえこんだ。 「怜っ！？」 「……お返し」 　くわえたまま喋られると余計感じる。 　すでに先端から溢れ出した蜜と怜の唾液が混ざって滑らかに上下される。 「あ、あっ……やぁ……」 　俺と同じことしてるのに。やっぱり怜のほうが上手い。すぐに追いつめられてしまう。 　怜の手が器用に準備していたローションを手にとった。 「あっ！」 　俺をくわえたまま、怜の濡れた指が後孔に触れた。周辺をゆっくり撫で、それから侵入してくる。 「あ、あ……」 　異物感。腹に来る圧迫感。前から来る快感。すべてごちゃまぜになる。 「透瑠……大丈夫……？」 　顔を上げて、切ない表情で怜がのぞきこんでくる。 「ん……大丈夫……あっ」 　続けて、と言おうとしたら、怜の長い指がある部分に触れた。 「あっ、怜、そこ……やあっ！」 「……ここ？」 　関節を曲げて、くっと押してくる。 「や、ああん……っ」 　身体の中から快感の波が押し寄せる。びりびりと電流が足先から頭へと抜けていく。 　自分の声じゃないみたいな喘ぎ声が、余計に刺激を強くする。 「指……増やすよ……」 　孔を押し広げられ、圧迫感が増した。けど、またさっきの感じるところを指先で突付かれて、腰が勝手に浮いてしまう。