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一生のお願い。①
ベッドサイドのぼんやりした間接照明が、その秀麗な顔を照らしている。頬に影を落とす鼻梁を見て、彫りが深いな、と透瑠はまた思う。
もう慣れたはずなのに。いつも見惚れてしまう。見飽きるということがない。
すでに二人とも一糸纏わぬ姿で、壁に寄りかかった怜の脚の間に透瑠は膝立ちで向かいあっている。
自分でも不思議なたとえだと思うが、こうしていると、これから神聖な儀式を始めるような気がする。
「透瑠……」
すっと伸ばしてきた腕の筋肉の線を目で辿る。肩にかかる髪を後ろへ撫でつけられ、かすかに触れた指先に、肌がチリっと灼けるように痺れた。先ほどの濃厚な口づけで、すでに身体は熱さを増し、中心は快楽の兆しを見せている。
「……なに……」
「お願い、きいてくれる?」
キラキラした上目遣いで見つめられ、透瑠は先ほどまで感じていた荘厳な雰囲気がひといきに吹っ飛んだ。
「……一応、言うだけ言ってみて」
がっくりと肩を落として絞り出すように言うと、
「透瑠が自分でするとこ、見たい」
「はぁ!?」
なんでこいつはこう! すごいことをさらっと、無駄にいいカオで言ってくるんだ!!
「……ダメ?」
と、つぶらな瞳で首を傾げて眉を下げる。犬か! 犬なのか! おねだりポーズ上手すぎるだろ無駄に!
おねがい、とじーっと見つめられ、透瑠は羞恥心と庇護欲のはざまで葛藤した。
「……今日だけだぞ」
「わーい、やった〜」
言ってみるもんだねえ、とニコニコしながら腰をするっと撫でてくる。もうそれだけでゾクリと快感のゆらぎが立ち昇ってきて、膝が崩れそうになった。
「……透瑠、さっきからそこばっか弄ってる」
怜の熱を帯びた視線が、透瑠の指先を追う。――見られているだけなのに、身体は感じてしまう。
「わ、るかった……なっ」
言われて自身の先端のくびれをしつこいくらい撫でさする指先に初めて気づく。
いつも怜が触れるところ。怜しか知らない、俺の敏感なところ。
息が上がる。血流が集中していく。
「ううん、俺もそこ好き」
欲を孕んだ声で怜が言う。その声に腰がゾクリと震えた。
「……でも、こうされるのも、好き」
その長い指が伸びてきて、透瑠の双球をそっと握りこんだ。
「あっ、は……」
透瑠の手の中で、自身が角度を上げた。先端から蜜が漏れ、全体を濡らしていく。
「透瑠……可愛い」
ゆるゆると揉みしだかれ、快感のうねりが自身へと流れ込んでくる。
「あぁ、や……怜っ……」
自然と手が動きを早め、自らを絶頂へと追い込んでいく。
「あ、あ、もう、イク……!」
「透瑠……っ」
眼前の細いながらも鍛えられた胸板が白濁の液体で濡れた。荒い呼吸のまま、自身の吐き出したものが怜の胸から腹へと流れていく様を見つめる。
「は、あ……ごめん、汚した……」
「何言ってんの? 透瑠の汚くないよ。むしろ嬉しい」
腕が首に絡みついてきて、ぐいっと引き寄せられた。ちゅ、と音を立てて唇が合わさる。
「お願いきいてくれて、ありがと。透瑠めっちゃ可愛いかった」
「……もうしないからな」
瞳を細めて見つめてくる視線にまた羞恥心を煽られて、透瑠はふいっと顔を逸らす。
「はあい」
聞いているのか、いないのか。適当な返事にムッとしたが、耳朶をペロリと舐められて、射精したばかりの敏感な身体がビクリと反応する。
「……っ」
「透瑠……愛してる……」
耳に直接囁かれて、ゾクゾクした刺激が足元から頭の先まで駆け上った。
「怜……あ、」
もう膝ががくがくして言うことをきかない。そのまま倒れ込むように怜に縋りつく。
妖艶な舌が耳に入り込み、思うままに蹂躙していく。さっき出したばかりなのに、それだけでまた中心が頭をもたげてくる。
「あ、ん……」
うなじをゆるりと撫でられる。背筋を通り……腰骨をさすって、するっと長い指が後孔に滑りこんだ。
「は……っ」
「透瑠……もうだいぶ慣れてくれた?」
正直、指が入る瞬間は今でも身体が強ばる。でも。
「……あんたなら、何されても平気、だから……っ」
じっとその整った双眸を見つめる。怜はしばらく固まっていたが、やがてぱあっとその顔を輝かせた。
「透瑠っ」
かばっと抱きしめられる。
「な、なに……」
後孔の喪失感と同時に、怜のじっとり汗で濡れた肌の感触に包まれる。
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