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第5話

「あの、早く帰っ……」 「やっぱり家だと眼鏡なんだ?」 「そ、そうだけど?」 今度はなんで眼鏡の話? と思った矢先に不意に相沢が懐かしそうに笑った。 その笑顔が余りにも格好良くて思わず見とれてしまうと。 「懐かしいよね。高校の時みたいでさ」と相沢が呟くように言った。 思わず動作が止まる。 「な、何言ってんの? 高校……ち、違うじゃん」 咄嗟に答えるも動揺が隠せない。 相沢の向ける真っ直ぐな視線に逃げ場は無かった。 「俺、知ってたよ。同じ高校だったのも、田宮がずっと俺のこと見てたのも」 「い、今まで何も言わなかった癖に」 「それは田宮がそう言ったから」 「なにそれ……じゃあ、最初からわかってたの?」 相沢が頷くと、途端に恥ずかしさで顔が熱くなった。 知られていたなんて。嘘をついている僕を馬鹿だなって笑っていたのか。 僕にとっては一世一代の嘘だと思っていたのに全てが独りよがりで、受け止めきれない思いを相沢にぶつけてしまう。 「からかってたんだ!」 「からかってないだろ」 「僕のことを笑ってる癖に!」 一気に頭に血が上り、相沢の腕を引っ張り立たせるとそのまま玄関まで押しやった。

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