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第4話

飼い犬との同居生活は、不思議な変化があった。 まず、家にひっきりなしに来る訪問販売がピタリと止んだ。 販売員を犬君が撃退し、それから玄関を念入りに掃除して表札の妙な落書きもスプレーで塗り潰したら二度と来なくなった。 更に配達で飲食店へ行くと、ある店では「キミちゃんに聞いたけど碧君、犬飼ってるんだってね。」食材を紙袋一杯に詰め、渡されるようになった。 料理なんて出来ないと困ってたら、犬君はそれを使って上手にご飯を作ってくれ食費も大分浮いた。 「ふぉぅっ!お、美味しい…。」 一心不乱に食べていると、犬君の顔が近付き、そのまま頬についた米粒を舌でペロリと舐め取り食べた。 「ちょっ、新婚の人がするみたいな事、止めてよ。」 「大好きなご主人を舐めるのは、犬には自然な事だろう。」 そう言っておでこにもキスする仕草もエロくて、犬相手にときめくのはヤバいと頭を横に振って煩悩を払う。 「腕は大分良くなったが、医者の所も通いやすいし完治までもう少し飼われたい。」 甘えたように懐かれると離れがたい気持ちもあって、数日の約束が1週間から1ヶ月と、ズルズル同居を続ける事になった。 そんなある日、組の幹部に呼び出しを受けた。 「順調に勢力を伸ばしてるってぇ時に、警察が何やらうちの組をマークしているらしい。お前も裏切ったら、身内でも容赦しねぇから覚えとけよ。」 そうして、オシボリだけで無く今後は裏の稼業である薬も運べと命令された。 それがいかに危険な仕事かってこと位、俺でも解る。 いつかみたいに心の中でヤバイよヤバイよと、頭を抱えて帰った。

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