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 ワイシャツから覗く、脚。  よく見ると、痣になっている箇所がある。……それに、赤く腫れているところも見えた。 「すまない。こんな、恰好で……っ」  赤城さんが言っていた『きみに嫌われるような姿』とは、このことなのだろうか。  俺は赤城さんに近寄り、赤城さんと同じ目線になるよう、しゃがみこむ。  距離を詰めたら、赤城さんの顔だけを見ていられるからだ。  ……同じ男だけど、赤城さんの素肌は……なんとなく、目に毒だったから。  だけど赤城さんは、俺と視線を合わせようとしなかった。  ……が、観念したのか。 「兼壱が、来て……っ」  俯いたまま、こうなった理由を答えてくれた。 (それって、えっと……つまり?)  ありていに言えば……セックスした後、ってことか。  ……確かに、それは言い出しにくい。 (なかなか出てくれなかったのは、そういうことだったのか……)  きっと、部屋の掃除とかなんとか……とにかく、いろいろなことをしていたんだろう。  だから、俺がどれだけインターホンを鳴らしても出てくれなかったんだ。  言葉少なながらに事情を察していると、赤城さんがポツリポツリと言葉を漏らした。 「この間は、兼壱の態度が悪くて……不快な思いをさせてしまって、すまなかった。言い訳がましく聞こえるかもしれないが、あれでも一応……兼壱が来る予定はないと、確認して……っ」  服を返しに行く前にかけた、アポイントの電話で。  赤城さんはスケジュール帳らしきものを、ペラペラと捲っていた。 (アレは、江藤が来るかどうかってのを確認してたのか……)  念には念を入れて、確認してくれたんだろう。  赤城さんはワイシャツで必死に下を隠しながら、黙ってしまった。 (……なんか、妙な気分)  視線を外して、なんとか言葉を探す。 「俺の方こそ、この間は……事情も知らずに、スンマセンでした。それに、赤城さんのこと……江藤から、守れなくて……」 「そんな……っ! そんなこと、きみが気にすることじゃ――」 「それでも!」  食い気味に、赤城さんは俺をフォローしようとした。  俺はそれがイヤで、赤城さんの言葉を遮る。 「――俺は、赤城さんが傷付く姿を見るのはイヤだったんですッ!」  結果的に、俺は赤城さんを見捨てた。  無事じゃ済まないだろうと分かっていたのに、赤城さんを置き去りにしてしまったのだ。  どんなに言葉を重ねたって、俺が言うことはキレイゴト。  赤城さんに笑われたって、ガッカリされたって、かまわない。  それなのに、赤城さんは……。 「着替えるのを、待っていてもらえる、かな。よければ、お茶でも飲んでいかないかい? ……もし、よかったらだけど……っ」  ――ヤッパリ、優しかった。  俺のことを、追い出さない。  それどころか、会話を続行してくれる。  俺は赤城さんからの提案に、速攻で頷いてしまった。

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