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質量を増した逸物は、触った分だけ反応を返す。
上下に扱けば、先端からは馴染みのある体液が漏れ出た。
「……ッ、く」
帰ってきたばかりで、着替えもせず。
自慰行為に耽っているなんて、信じたくない。
その原因が、今さっき友人になったばかりの男性だということも……認めたく、なかった。
(赤城さんは、どんな顔……すンだろ、ッ)
赤城さんはきっと、江藤に抱かれているんだろう。
――ブツを口に突っ込まれたり、するんだろうか。
――それより、もっと過激なことも?
そうされて……赤城さんは、悦んでいる。
江藤は、乱暴な抱き方をしそうだ。
赤城さんの負担になりそうな、抱き方を。
(俺は絶対、赤城さんに……そんな酷いこと、しないのに……ッ)
誰に言うでもなく、誰とでもなく、張り合ってしまう。
すると……性に対して直球すぎる思考回路が、余計な妄想を生み出してしまった。
『――本渡、くん……っ』
――俺に対して、よがっている赤城さんという妄想を。
キスをしたら、赤城さんはどんな顔をするんだろう。
俺が『触って』と言ったら、赤城さんは顔を赤くするんだろうか。
俺が『触りたい』と言ったら、赤城さんは触らせてくれる?
『恥ずかしいよ、本渡君……っ』
顔を赤らめて。
身をよじって、拒絶しながら。
言葉には、期待感を含めるのかもしれない。
『だめ、本渡君……っ! あ、っ』
赤城さんは、どこなら感じる?
女と同じように、胸は悦ぶのか。
それともヤッパリ……一番は、男の象徴?
頭の中で、ワイシャツ一枚だけの赤城さんを想像する。
白い脚をムリヤリ開かせて、その中心にあるものを……触る、妄想。
「は、ッ」
上下に扱いたら、赤城さんは感じてくれるだろうか。
先端を弄る方が嬉しいなら、俺はそうしてあげたい。
『本渡君……っ! もっと、触って……っ』
焦らしたい気持ちもあるけど、赤城さんに強請られたら……俺は素直に、触ってあげるだろう。
『ん、あ……や、っ』
江藤の前で、赤城さんはどんな声を出しているのか。
どんな風に乱れているのかなんて、考えちゃいけない。
ダメな、はず……なのに、ッ。
「――赤城、さん……ッ!」
ビュッ、と。
精液が勢い良く、飛び散る。
呼吸が荒くなって、言い様のない満足感でいっぱいになって。
――そして、激しい自己嫌悪に襲われた。
「――ダチって言ったのは、俺の方だろ……ッ?」
友達のことを考えて抜くなんて、最低だ。
それよりも、真里に対して失礼だろう。
なのに俺は、今。
……真里よりも、赤城さんに対して『悪いことをしてしまった』と思っている。
「最低だ、俺……ッ!」
彼女に対する罪悪感よりも、友達に──赤城さんに対する罪悪感の方が、大きいだなんて。
そのことに気付いた俺はまた、罪悪感を増幅させてしまった。
4章[ 優しさと罪悪感 ] 了
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