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 ――こんなの、おかしい。  誰に言われなくたって、そんなのは俺自身が一番よく分かってる。 「……ふ、ぅ……ッ」  赤城さんの笑顔を思い出して、そのほっぺたに触れる妄想。  ――薄く開いた口に、指を突っ込みたくなる。  ――優しい瞳が熱っぽく潤むところを、見てみたい。  ――俺で、いっぱいにしたくなる。  これは、こんなのは。  ――【友達】に抱いていい感情じゃ、ない。 「赤城、さん……く、ッ」  熱を持った逸物を握り、上下に扱く。  単調な作業でも、俺にとっては重みが違う。  俺は……友達をオカズにして、オナニーをしているんだから。 (この間見たAVは、もっと……ッ)  少し前までは、赤城さんのいやらしい表情を想像するだけだった。  だけど俺は最近、ある動画を調べるようになったのだ。  ――男同士でエロいことをしている、そんなAVを。 (ケツに、指突っ込んで……ちゃんと、慣らして、それで……ッ)  赤城さんの、細い脚。  それをムリヤリ開かせて、尻の割れ目に手を添える。 『や、やだ……っ。本渡君、そんなところ……っ』  赤城さんはきっと、処女じゃない。……きっとじゃなくて、絶対。  だけど、それでも赤城さんは恥ずかしがるに決まってる。  濡らした指を、尻の穴に突っ込んだら……どんな感覚なんだろう。  ――赤城さんは、感じてくれるだろうか。 『だ、め……ん、っ』  最近見たAVの、抱かれている側の男。  その男を、脳内で赤城さんに変換する。  最近……オナニーをするとなったら、決まってそういう妄想の仕方をした。  自分でも、かなりヤバイ奴だって自覚はある。  逆に俺が、男友達――仮に同僚からこんなことをされていると聞いたら。……かなり、だいぶ、引く。  ――でも、赤城さんのズリネタになれるなら……嬉しい。 「……は、ッ」  赤城さんは、自分のをどうやって扱くんだろう。  自分でするのと、誰かにしてもらうのなら……どっちが、好き? 『もっと、触って……本渡、くん、っ』  顔を真っ赤にして、赤城さんは強請ってくれるだろうか。  きっと自分の言葉で、もっと赤くなるに違いない。 『本渡君、本渡……く、んっ』  気持ちいいところを狙えたら、赤城さんはどんな反応をするのか。  ――笑ってくれる?  ――それともヤッパリ、恥ずかしがって顔を隠す?  どっちの赤城さんでも、俺はよかった。 「赤城さん、あか、ぎ……さん、ッ」  手のひらが、先走りの液でヌルヌルになる。  射精感が高まり、俺は目を閉じた。  ――想像するのは、俺の下で善がり狂っている赤城さんの姿。 「――く、ッ」  手のひらをベットリと汚して、俺は肩で息をした。  赤城さんの痴態を勝手に妄想して、それでオナって……。  その後は決まっていつも、自己嫌悪の気持ちに襲われた。 「あぁ、クソ……ッ!」  ――赤城さんにとって、心の許せる友人でいたい。  ――だけど、俺はもう……赤城さんじゃないと、抜けない。  名前のつけられない、この感情。  もしかしたら……この感情に、名前をつけちゃいけないのかもしれない。  どうしていいのか分からない、持て余したこの感情。  それが、ただただ。  ――気持ち悪かった。 5章[ 友達とセフレ ] 了

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