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第11章 第3話(1)
翌日の集まりは昼過ぎからとなった。
待ち合わせ場所として指定された渋谷の駅前で、馴染みの同級生たちと合流する。全員がそろうと、どこという説明もないままゾロゾロと歩き出した。男ばかり総勢六名。
「や~、群司が来てくれてよかったわ。おまえいないとはじまんねえし」
「は? なんの話だよ。普通に飯食うだけだろ?」
「あ~、まあ、そうなんだけど」
群司が胡乱 な目つきで見やると、隣を歩いていた近松は気まずそうに言葉を濁した。
「ってか、これ、どこ向かってんの? 店の名前とか、俺、聞いてないんだけど」
「店の名前はなんだっけな。じつは俺もよく知らねぇんだわ。なんか、有名なパンケーキの店とかなんとか」
「はあっ? パンケーキ!? 野郎六人で?」
いったいなんの冗談かと、裏返った声が出た。
「いや! いや、違う。俺らだけじゃなくて、その、ね? 白薔薇女学院の皆様がご一緒にというか……」
「え、なにこの集まり。まさか合コン? 俺、なんも聞かされてないけど」
「あ、うん。なんかね、俺ら最近、卒論だ~、就活だ~、はたまた進学試験だ~っつって全然潤いがねえじゃん? だからたまにはみんなでこう、パーッとね、華やかに……」
言いかけた途中で、近松は前方を行く友人を「須藤~」と呼び止めた。
「おまえ、ちょっとくらい群司に説明しとけよ。なんか俺が責められる感じになってんだけどっ」
近松の苦情を聞いた途端に、須藤は「わちゃ~、もうバレた」と笑いながら群司たちのもとに引き返してきた。
「いーじゃんいーじゃん、おまえいま、フリーだろ? サークルの後輩と別れてから、浮いた話ひとつ聞かねえし」
「悪い。俺いま、そういう気分じゃない。っていうか、これ、完全に確信犯だろ。肝腎な情報だけ伏せとくとかあり得ねえから」
「え~、だってさ、最初から合コンって言ったら、群司来なかっただろ?」
「あたりまえだ。いまそれどころじゃないっつってんだろ」
「知ってる。もちろん知ってるよ? おまえが忙しいって」
須藤は調子よく頷いた。
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