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第11章 第3話(2)
「けどさ、内定ももうもらったんだし、ちょっとくらい俺らに協力してくれてもいいじゃん。おまえいると女子ウケが全然違うんだよぉ。おまえは自分が興味なくても向こうから勝手に寄ってきてくれるからいいけど、俺らは自分からアクション起こさないと恋愛のとっかかりすら掴めないわけよ。だからさ、ね? ね? ここはひとつ、俺らにチャンスを恵んでくれるものと思って」
拝み倒すように両手を合わせられて、群司は溜息をついた。
そんな気分ではないことは事実だが、だからといって、予定が白紙になればまた余計なことを思い悩むことになる。数合わせ的な参加でいいのならと、しぶしぶ了承した。
「いやいや、なんだかんだ言いつつ、会ってみたら結構好みの子とかいるかもよ?」
近松に言われて、群司は即座にそれはないと否定した。
「仮に気が合おうが、見た目が好みだろうが、その先に進むことはない」
「絶対付き合わないってこと?」
「付き合わない」
「え~、なんか異様に頑なじゃね?」
驚いたあとで、近松はピンときた様子を見せた。
「あ、おまえじつは好きな子いるんだろ? ってかもう、すでに付き合ってるとか?」
「付き合ってない」
「え? じゃあ片思い中? なにそれ、どんな子?」
近松が言った途端にほかの面子 も集まってきた。
「え、なになに? 八神、好きな子いんの?」
「美人? カワイイ系? 年上? 年下? あ、わかった! バイト先の子だろ」
「お、バイト先っつったら、どっかの製薬会社じゃなかったっけ? 内定もらったでかいとこ。ってことは相手は社会人だ! マジか、年上のお姉様じゃん」
はしゃぎ出す友人たちに、群司は煩わしげに手の動きで追い払う真似をした。
「お姉様じゃねえよ。肯定も否定もしてないのに、勝手に恋愛がらみで話膨らませるな。俺のことより、今日はおまえらがうまく行くかどうかが問題なんだろ? あんまりガキっぽく騒いでると女の子たちに引かれるぞ」
「出た! これだよ。女子はこういうスカしたイケメンが好きなんだよ」
「あ~、俺もおまえぐらいの顔面偏差値ほしかったわ」
「顔面だけじゃなくて、高身長! 高学歴!」
「かろうじて俺らにあるのって高学歴だけかぁ」
「おいおい、自分で言うなよ」
賑やかにやりとりしながら移動していく中で、群司の気持ちは晴れない。
いつもなら、この時間は如月のマンションで昼食の準備をはじめるころだった。
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