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第13章 第1話

「創立記念パーティーですか?」  翌週、会社に顔を出すなり部長の門脇に呼ばれた群司は、そこで持ちかけられた話に戸惑いを滲ませた。 「そうなんだよ、創立七十周年のお祝いでね」  門脇はゆったりと頷いた。来月半ばに予定されているのだという。 「会社のほうでは社長の挨拶と各部署ごとに簡単な立食パーティーが予定されているんだが、その週末の土曜に社長宅で別途、内輪のパーティーが開かれることになっていてね。重要な取引先の会社の社長だとか政界の先生方、大物俳優や有名スポーツ選手といった各界の著名人たちが勢ぞろいするそうだよ」  それはむろん、これほどの規模の会社主催のパーティーともなれば、盛大で華やかな催しとなるのは当然だろう。だが。 「あの、そんなすごい場に、どうして僕が?」  その社長宅のパーティーに、都合が合えば出席しないかという打診があったのだ。 「部長もいらっしゃるんですか?」  尋ねた群司に、門脇は「いやいや、とんでもない」と笑った。 「私なんかが行けるところじゃないよ」 「え、それじゃあなおのこと、僕なんか……」 「大丈夫、そんなことはないから」  辞退しようとする群司を引き留めるように門脇はフォローを入れた。 「君がうちに入社することはすでに決定したことだし、学生のいまだからこそ、新しい世界を見ておいて損はないのではないかと天城顧問はお考えのようでね」  いまのうちに見聞をひろめておくことは、社会に出たときに役に立つと門脇は後押しした。 「ですけど、さすがにただのアルバイトが社員の皆さんを差し置いてというのは気が引けます」  群司の言葉に、門脇は笑った。 「そんなことは気にしなくていいよ。まだ学生の立場だからこそ気軽に楽しめるというのもある。美味しいものがたくさん食べられて、有名人のサインももらえる、くらいの感覚で行ってくるといい」 「はあ……」 「天城顧問のご厚意だからね。楽しんでおいで」  あらためて言われてしまうと無下に断れない。それではありがたく、と出席の方向で受諾した。

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