「あ…っ、んっ……、んっ、ん……っ」 　白い肌があざやかに色づいている。 　座位で躰を抱き上げる群司の首筋に、ほっそりとした腕が縋りついていた。 　薄く開いた口から絶えず甘い喘ぎが漏れて、群司の牡の本能を刺激しつづける。目の前にある濡れた口唇をベロリと舐め上げると、餌をねだる鳥の雛のようにキスを求められた。 　口唇を吸い上げて舌を絡ませながら、尻臀をやわらかく揉みこんで秘所にもぐりこませた指を掻き混ぜる。途端に腕の中にある躰が大きく撓ってビクリとふるえた。 　デリケートなすぼまりが、群司の指を食い締めて与えられる刺激を貪欲に貪っていた。 「や、ぁっ……、そこ、ヤッ……。んんっ、ダメッ、やがみっ、八、神……っ」 　甲高く甘えた声に啼かれて興奮しない男はいない。群司は腹のあいだで勃ち上がっている如月の陰茎に己を擦りつけ、内壁を犯す指の数を増やしていった。 「アッ、んんん……っ、ふっ、ぅ……っ」 　はじめは自分で準備をするからと、群司に後孔をいじられることを拒んでいた如月も、強引に押しきられてほぐされていくうち、快楽を追うことに夢中になっていた。 「琉生さん、可愛い。腰、メチャクチャ揺れてる。気持ちいい？　痛くない？」 　肩口に額を預けて必死に群司に縋りついていた如月は、眉を顰めて口唇を噛みしめながら、うんうんと何度も頷く。それから堪えきれぬように切なく喘いだ。 「や、がみ……、おね、がい……、も、挿れ、て……」 　すっかりとろけきった表情で懇願されて、危うく理性を飛ばしそうになった群司はなんとか踏みとどまった。 「ダメです。まだ無理でしょ。もう少しほぐさないと」 「だい、じょぶ……。もうはい、る……」 「まだきついからダメです。無理やり挿れてもつらいだけだから。ローションもないのに負担が大きすぎる。ね、もうちょっとだけ我慢しよ？　怪我させたくないんで」 「だって……」 　潤んだ眼差しで見つめてくる如月を、群司は根気強くなだめた。 　できるものなら群司だっていますぐにでも繋がりたいところである。思いきり突っこんで如月の中をぐちゃぐちゃに掻き回して啼かせ、彼我の境界がわからなくなるほどドロドロに融け合って快楽を共有したい。だが、自分以上に如月に気持ちよくなってほしかった。 　女性と違って受け入れるようにはできていない身体を開いて無理やり欲望を受け止めるのだ。抱かれる側の負担ははかりしれない。少しでもつらさを軽減させて、安心して甘えさせてやりたかった。 　求められる歓びと、与えられる幸せを存分に味わってほしい。傷をつけないように、苦痛を感じなくてすむように、ただ満たされて、注がれる愛情に溺れてほしい。そんな思いで自制しているのに、如月のほうから群司の理性を壊しにかかってくる。あまりの反則技に、なんでこんなに可愛いんだと文句を言いたくなるほどの魔性ぶりだった。