「被験者には、併せて催淫性のある薬も服用させるという話でしたから、いま琉生さんの身体がつらいのは、そっちの影響なのかなって思うんだけど、どこかに違和感とか痛みとか、ありますか？　とくに下腹部」 「よく、わかん、ない……。からだ、痺れてて、自分のじゃないみたいで……」 　不安げな様子を見せる如月の背中を、群司は引き寄せてそっと撫でた。 「そのまえから薬を盛られていたことは間違いないから、あとできちんと医療機関で診てもらいましょう。でもそのまえに、琉生さんの身体に異変がないか、俺が確認してもいい？」 　尋ねると、如月は泣きそうな顔で口唇を噛みしめる。その額に、群司は励ますように口づけた。 「大丈夫。なにがあったとしても、俺が必ず治してみせるから」 　どんなことがあっても絶対に守ると断言する群司に、如月は意を決したように頷いた。 「ごめんね。恥ずかしいと思うけど、後ろの壁に寄りかかって、足、開いてもらえますか？」 　群司が言うと、如月は赤い顔をさらに赤く染め上げながらもその言葉に従った。顔を背けて、必死で羞恥を堪えようとしている。群司はなるべく早く済ませようと薄布をめくり上げた。その下にあったのは、かろうじて局部だけを覆っている扇情的な下着。布の面積は極めて少なく、バックは完全に紐状になっていた。 　どこまでも卑猥な演出をしようとしていたことに、今更のように怒りが湧く。それでも如月の不安や羞恥を煽ることがないよう、極力事務的に薄い布地をわきに寄せた。 「……っ」 　わずかにビクッとふるえた如月が、声を殺して身を硬くする。ゆるく勃ち上がった花芯が隙間から顔を出したことで、男性器が正常に機能していることにひとまず安堵し、その下部、会陰から奥をさらに注視したあとで息をついた。女性器が形成された形跡も、後孔がそのかわりの役目を果たしている様子も現時点では見受けられなかった。 「たぶん、飲まされたのは媚薬だった可能性が高いです。フェリスを使用する直前で騒ぎが起こったのかも」 　如月はおそるおそる目を開けると、なおも不安が拭い去れない様子で群司に視線を向けた。 「ほんと、に？」 「俺が見るかぎりで身体の異常は見当たらない。ただ、これはあくまで素人目で判断できる範囲のことなので、あとできちんと検査してもらったほうがいいです。飲まされた薬のこともありますし」 　でもそのまえに、と群司は付け足した。 「これ、つらいですよね？」 「あっ、や……っ」 　わずかに兆している花芯を撫で上げると、如月はふたたびビクッとして逃げを打った。