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第18章 第1話(6)

「群司」 「ん?」 「ずっとそばにいてくれてありがとう」  唐突に言われて、群司は一瞬言葉を失った。 「……どうしたの? 急に」 「いままでちゃんと、言ったことがなかったから」  群司の顔を、如月はまっすぐに見つめた。 「優悟さんには、ずっと憧れてた。仕事ができて優しくて、見た目もすごくかっこよくて。あんなかたちで喪ってしまったから余計にそういう思いが強くなっていって、会えなくなったことがとても寂しくて」 「琉生さん?」  突然語り出した如月に、群司は戸惑いをおぼえた。だが、如月はなおも話しつづけた。 「いまでも急に寂しくなって、会いたいって思うこともある。でも、それだけ」 「え? それだけって?」 「優悟さんがもし本当に帰ってきてくれたら、すごく嬉しい。だけど俺が好きなのは、群司だから」  群司は今度こそ絶句した。 「優悟さんのことはもちろん好きだけど、でもそれは憧れの気持ちで、群司は恋人として好き。だから優悟さんに俺のこと、おまえのものにするって言ってくれて嬉しい」  如月はそう言って群司の胸に頭をもたせかけると、頬を擦り寄せた。自分でもどうしていいかわからないほど愛おしい気持ちがこみあげる。群司は如月の顎に手をかけると、そっと上向かせた。 「知らなかった。琉生さんって俺が思ってたよりずっと、俺のこと好きだったんだね」 「好き」 「会えないあいだ、寂しかった?」 「寂しかった」 「そっか。俺もね、ずっと会いたかったよ。いまなにしてるかなって、いつも気になってた。両想いになった直後にあの騒ぎだったから、まるまる一ヶ月会えなかったもんね」 「うん」 「琉生さん、可愛い。琉生さんがいつも以上に甘えたがりなのは、琉生さんが俺のこと、そういう存在として認めてくれてるから? 俺は琉生さんのカレシってことでいい?」 「いい。だって群司は、恋人だから。いっぱい甘えていいって、群司が言った」 「そうだね。俺、そう言ったね。琉生さんのこと、いっぱい甘やかして大事にしたいって。じゃあ今日は、会えなかったあいだの埋め合わせ、たっぷりしようか?」 「する」  如月の頭を引き寄せると、如月は群司の上に覆いかぶさったまま口唇を重ねてきた。その躰を、群司は途中で反転させて自分の下に組み敷く。舌を絡めて濃厚な口づけを交わしていくうちに、如月の躰は熱を灯して群司を求めはじめた。 「このままここでする? それともベッドに行く?」 「ベッドが、いい」 「いいよ。じゃあ、移動しようか」  群司が身を起こして手を差し伸べると、如月はその腕に掴まって群司に縋りついてきた。 「琉生さん、好きだよ。でもひとつだけ、確認しておきたいことがあるから、ちゃんと答えてね?」 「確認?」 「うん。先にベッド行こうか」  如月の手を取ると、群司はその躰を抱き上げた。

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