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エピローグ3

「飲み物、なんにします? ビール? ワイン? サワーなんかもありますけど」 「あ、でもせっかくの料理味わいたいから、お酒はそんなに……」 「じゃあ、ワインちょっとだけにしましょうか。冷やしてある赤があるから、琉生さんがお土産に持ってきてくれたチーズ出して、それで乾杯するってことでどうですか?」 「うん、それでいい」  群司がキッチンに立つと、如月もついてきてグラスを用意する横に並んだ。  冷蔵庫の野菜室から冷やしておいたワインボトルを取り出して、如月の持ってきたものと入れ替える。栓を抜いてグラスに注ぎ、小皿を取り出してチーズを並べてと作業をするあいだ、如月はぴったりと群司の横に張りついていた。 「どうしたの? 甘えモード発動中?」  群司の腕に自分の腕を絡ませてへばりついている如月を笑いながら見下ろすと、如月は肩口に頭をもたせかけながら見上げてきた。 「群司がおなじ職場に来るなんて思わなかった」 「言ったでしょう? これからも力の及ぶかぎりあなたを守るって。まあでも、国家公務員試験は大学在籍中の試験期間逃しちゃったんでまるまる一年遅れたし、正直なところ、合格後の採用先が希望どおりの部署になるなんて思わなかったんですけどね。転勤族の代表みたいな職業だし、地方に飛ばされることもあるかなって覚悟もしてたんですけど」  そこは立花が、天城製薬での功績を踏まえて、なんとしても自分の部署にと上層部に掛け合い、群司の確保に尽力してくれたのだと聞かされて、如月は目をまるくした。 「全然、知らなかった」 「ですよね。絶対自分のところに引きこむけど、琉生さんにはその日がくるまで口外禁止って、試験合格したときから厳命されてました」 「ひどい……」 「いつも仕事を頑張ってくれている大事な部下への、心づくしの贈り物、だそうですよ?」 「群司が?」 「そう、俺が」  なんだったらプレゼント仕様にリボン結びましょうか?という群司に、如月は小さな声をたてて笑った。

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