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番外編~ある幸せな休日~ 第2話(5)
「ぐんじ、好き……好き……っ」
「俺も大好きだよ」
もう反則なくらい可愛すぎて困ると群司は笑った。そのまま足を抱えられて、如月は群司に抱きついたまま、わずかに腰を持ち上げる。やわらかく身体のラインを撫でた指先が入り口に添えられ、熱い昂ぶりをあてがわれると、それだけで期待に胸が高鳴った。
恋人の逞しい胸に縋 って如月は身を縮め、息をひそめる。ほどなく指でひろげられた後孔に、グブリと先端が押し入ってきた。
「んんっ」
瞬間的にビクッと反応し、けれどもその反応を見ながら結合を深めていく恋人に、すべてを委 ねた。
もう、幾度身体を重ねたかわからない。それでも群司は、挿入時の如月の負担と苦痛をやわらげるための細やかな配慮を決して怠らなかった。
「大丈夫? つらくない?」
よしよしと身体を抱きしめられながら訊かれて、如月は頷く。
「平気。……群司、キスしたい」
甘えながら訴えると、すぐに優しい口づけが与えられた。
「……んっ……ん……っ」
嬉しくて、幸せで、どんどん心が満たされていく。愛される歓びを知ってしまったら、相手を想う気持ちがそのままダイレクトに情慾へと繋がって、強く求めずにはいられなかった。
舌を絡め合いながら、体内に埋めこまれていく熱杭をさらに奥へと導き入れるように如月はゆるゆると腰を振る。群司の形を憶えている媚肉 が、愛するものを受け入れることに歓喜して、吸い付くように蠕動 しているのが自分でもわかった。
もっと深く。もっと奥へ。
互いの境界がわからなくなるくらい、どこまでも交じり合える場所まで……。
官能を目醒めさせるような淫 らな動きで根もとまでを収めきって、ひろい胸に顔をうずめた如月は大きく息をついた。自分の中にある逞しい雄蘂 が、欲望を示してドクドクと息づいているのが嬉しかった。
「ごめんね、余裕なくて、ゴムするの忘れちゃった」
耳もとで囁かれて、恋人を迎え入れたばかりのすぼまりがキュンと反応する。中に出さないように気をつけるからと気遣うその言葉に、如月は甘い疼きをおぼえながらかぶりを振った。
「大丈夫。今日はこのまましたい」
顔を上げて訴えるその口唇に、了承のキスが落とされた。
「じゃあ終わったら、一緒にお風呂入ろうね」
優しく頭を撫でられて、如月はうんと頷く。群司に抱きしめられたまま、如月はゆっくりと腰の動きを再開した。
はじめは少しずつ慣らしていくが、硬い先端が最奥にあたったところで「んっ」と息を詰める。痛みからくるものではなく、気持ちよさゆえの反応であることを理解した群司が、その躰をしっかりと抱きこんで、あっという間に互いの位置を入れ替えた。
群司に跨がった状態で胸の上に突っ伏していた如月は、繋がったままソファーに寝かされる。身を起こした群司が、如月の見ているまえで両腕をクロスし、着ているセーターとインナーを豪快に脱ぎ捨てた。若々しい引き締まった体躯が目の前に現れ、如月はうっとりと見惚 れた。
すぐに覆いかぶさってきたその躰を、両手をひろげて迎え入れる。自分も決して小柄なわけではないはずだが、こうして恋人に抱きしめられると、すっぽりとその腕の中に収まってしまった。
肌と肌が直接触れ合う心地よさもあって、如月は深い安堵感を味わった。
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