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第2話
結局、ぐっすり眠って、簡単な朝食も部屋に用意してもらって、ホテルを出たのは朝方だった。
部屋に残るおじさんにありがとうのキスをしてひとりでエレベーターを待つ。
なんとなく歩きたい気分だったから送迎は断っておいた。
外に出ると、11月に入ったばかりの秋とも冬とも言えない澄んだ空気が気持ち良くて、ホテルで結構寝ちゃったしこのままジムでも行こうかな。
イヤホンをして、まだ人も少ない街をゆっくり歩いて家の近くのジムに向かった。
立地も良くて少し会費がお高めのここはあんまり混んでることもなくてかなりお気に入り。通い始めて2年くらい?
こんな仕事してて、もともと線が細い方だったのが嫌になって鍛え始めて、今は脱いだらびっくりされるくらいには締まってきてる。
ジムに来るのは仕事終わりの朝方が多いから、特に人が少ない中で好きな音楽聴きながら筋トレに没頭できるこの時間が、結構好きだった。
2時間くらい走ったりマシン使ったりしてたら窓の外がだいぶ昼間の明るさになってきて、簡単にシャワーを浴びてジムを出た。
あーすっきりした。いい汗かいたし、超爽快。
来た道を少し戻る形で家に向かう。
今日のお客さまはいつも決まってあのホテルだったから、彼の予約が入った日はジムに寄ってから帰るのが定番になっていた。
俺の家はメゾネットタイプの社員寮みたいなもので、お隣さん同士も同じ事務所の子たち。
だいたい一つの部屋に3人くらいで住んでるんだけど、その中でも俺は古株な方で、半年前に辞めちゃった子が部屋を出てから実質一人暮らしみたいなもんだった。
玄関で靴を揃えて一旦共有スペースのリビングへ。
この家に最初に入居したのが俺だったから、インテリアは全て俺好み。
ブラウンと白で統一された部屋の真ん中にあるソファに腰掛けてさっきコンビニで買ってきたコーヒーをすする。
しばらくぼーっとしてる間に寝ちゃったみたいで、スマホの着信で目を覚ました。
「、、ん。はよーございます、、」
「律おはよー。もう昼過ぎだけどな」
「まじですか。あー、結構寝たなあ」
電話の相手は店の代表の新倉 さんだった。
ぐーっと背伸びをして壁掛けの時計を見たらもう14時。
うわあ、ほんとだ。
ソファで寝たせいで身体も痛い。
電話をスピーカーホンにしてキッチンに向かった。
なんか食べるものあったっけ。
「律、急で悪いんだけど今日事務所来れる?」
「行けますけど。予約?」
「いや、入店希望の子が居て、俺が連れてきた子なの。できれば律の部屋に入れたいなと思ってな」
そこまで聞いて、意外だなって思った。
新倉さんがスカウトしてるなんて聞いたことない。
「うん、良いですよ。新倉さんの推しの子に会えるの楽しみ」
「もうほんと激推し。16時ころでも大丈夫か?」
「了解です。じゃあまた」
あ、ヨーグルト見つけた。
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