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第5話
うちのお店は基本的にキャストはネコちゃんで、オプションで攻めることもあるけどまあそれは追々でいいと思う。
那月くんの部屋のベッドシーツを新しいものに交換して、またすっかり緊張の顔に戻ってしまった那月くんとベッドに並んで座った。
「そんな緊張しないでよ」
「す、すいません、あの、律さんがきれい過ぎて」
「そう?嬉しい。ありがとね」
ちらっと目配せをする那月くんの方が可愛いと思うけど。
髪を撫でながらゆっくり手を後頭部に回して、唇同士がぶつかるギリギリまで持ってくる。
全部未満でやめるしキスするつもりは無いけど、那月くんから来てくれるならアリだなあ。
「俺個人の感想としてはキスは多い方が喜ばれると思うよ。別に深くなくても良いから、軽く、」
そんなこと思いながらそのままの距離で話してたら、不意に那月くんが首を伸ばして唇を合わせてきたから、思わず吹き出してしまった。
「ごめんね、雰囲気が伝われば良いから実際にはしなくて良いんだよ?」
「えっ、あの、俺、ごめんなさい、、めっちゃ恥ずかしい、、」
「俺としては全然ウェルカムなんだけどね。那月くんが嫌なことはしなくて良いからね」
「ほんとすみません、、」
両手で顔を覆う那月くんはまじで凹んでるみたいで、ほんとに素直で良い子だ。
こんなピュアな子に風俗が務まるだろうか。
「流れは普通のセックスとおんなじで、気持ちゆっくりめに、ひとつひとつの動作をじっくりしてくといいよ。今日はとりあえず、受け身で良いからひと通りしてみよっか」
耳元で、わざと吐息が掛かるように喋ると、僅かにぴくんと肩が揺れた。
首に顔を埋めて、匂いを嗅ぐみたいに鼻を寄せる。しばらくそうした後に那月くんの顔を見たら、ぎゅっと目を瞑って唇を噛んでた。
まあ、恋人でも無い奴にこんなことされたら普通そうなるよね。
一応優しくしてるつもりなんだけど。
「じゃあさ、自分で服脱いで後ろほぐすとこまでしてみよ。今日はそこまでにしておこう。そんで、終わったら入店祝いに美味しいご飯食べに行こ!」
「え、、」
「まずは脱ご。ほら、見ててあげるから」
不安でいっぱいです、って顔した那月くんがこっちを見上げてるけど、何にもしてあげない。
諦めたのかおずおずとシャツのボタンに手をかけたところでまた髪を撫でてあげた。
ゆっくりゆっくり、上半身が裸になって、その体は想像通りに真っ白で透けてしまいそうだった。薄くある筋肉がきれい。ムダが無い。
「やっぱり恥ずかしいです、」
「よしよし。ベッド入ろうか?そしたら見えないし。」
こくんと頷く那月くんをベットに入れてあげて、ローションを枕元に置いた。もぞもぞと下を脱いでる。
布団から細い肩がのぞいてて、さっきよりも視覚的にエロい。
俺もこれくらい細かったんだよなあなんて、ちょっと自分に重ねたりした。
那月くんは根本的に華奢なタイプだから筋トレしたところで俺みたいにはならなそうだけど。
「裸になった?」
「、、はい」
「じゃあ、はい。ローション。指3本くらいが入ったら十分だから、やってみて」
「あ、あの、、」
ベッドの中で少し距離を置いてた那月くんがおずおずと胸元に寄ってきた。ちょっと寒かったかな。体が冷たい。
窓の外を見たらもうだいぶ薄暗くなってきていた。
「したこと、無いんです」
「、、は?」
「そういう事、したこと、無いんです」
待って待って。
新倉さん、なんでこの子入店させたの?
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