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第183話
あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その36
漲った欲は痛みを忘れさせる。
ジュンヤの腕を掴むとそのままタクシーに押し込んだ。
あ?という顔をしながら俺を見つめてくる視線にも下腹は滾ってくる。
誰のせいなんだ?
こんな気持ちにさせやがって。
ドライバーには予め行き先が告げてあったのか車は俺たちを乗せるとスムーズに深夜の街に滑り出た。
もはや行き先はどこでもいい早ければ早いほどいいんだ、とわからせるように掴んだジュンヤの腕を俺の太ももに縛り付けた。
しっとりと汗ばんだ手は絡むように俺の指を探ってくる。
ジュンヤの細く長い指の股にしっかりと俺のを入れてやるとジュンヤはその火照った熱を冷ますように頭を冷たいガラスに押し当てた。
代金は済んでいますという声と共に俺たちはタクシーから降りた。
ここは、ジュンヤの住処なのか。
降りるときに一旦離した指はもう触れることはなかったが、俺の興奮した衝動はそのまま継続をしている。どこだって構うものか、これから抱き潰してやる。
先に建物に入るジュンヤの背中を見ながら抱え込んで離せないだろう己に怖ささへ感じた。
黙ったまま3階まで階段を上がる。
ジュンヤは廊下の突き当たりの玄関ドアを開けると俺に入るよう促した。
靴は脱がない欧米スタイルのアパートらしく敷かれた絨毯の上を奥まで歩く。仄かに付けられたテーブルランプで浮かび上がったのは、枕と上掛けが乱れ今まで誰かがそこに居たようなキングサイズのベットだった。
前夜の余韻が濃厚に漂うこの部屋でジュンヤに対峙すると征服欲ばかりが強くなる。
目の前の生き物は俺から目を逸らしたまま、シャツのボタンに指をかけ息をするたびひとつひとつ外していく。
身につけた衣服のボタンを全部外し終えると下着さえ履いていない艶めかしい象牙色の下半身をさらけ出して、前を開いたシャツの中をさっき存分に絡めた指が尖った乳首を求めて彷徨った。
荒くなる吐息が俺が見ていることに興奮していく、それでも俺の方を見ないその目には爛れた淫欲が映るのか……
限界まで我慢した俺は誰かとの淫行で汚れたシーツにジュンヤを縫い付けた。
その黒いシーツは所々白いシミが浮かぶ。小汚いその場で俺のものはかつて覚えがないほど硬く震えるように勃起した。
「 悪い子だ、思い知らせてやるよ 」
そう紡いだ唇はもう迷わなかった。
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