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第188話

あの頃の気持ちに(ジュンヤ) その41 やけに高ぶった甲高い話し声に否応なしに目を覚まされる。 1人掛けのゆったりとしたソファでそのまま寝てしまったらしい。 シャツのボタンを外して首筋をゆっくりと摩ると声のする居間の扉を開けた。 瞬間、目に入った刃物を持った腕を手刀で払いのける。すんでのところで葉物を床に落とし落とすとその腕を捻り上げ、唸る声を上げるやつの顔を見ると、 潤だった。 「 何をしてるんだ!」 肩で息をしている潤の腕をねじりあげたまま近くの椅子に座らせる。 だいたい何事なんだ、なぜナイフを持っていた?改めて周りを見回すと、キッチンの前のテーブルの横にはジュンヤが裸のままで立ちすくんでいた。 潤の腕を脱いだシャツで後ろ手に縛りジュンヤに近づくと、 濡れた身体はシャワーでも浴びた後なのか? 「 どうしたんだ?なにがあった?」 テーブルの上に投げ出してあったバスタオルで身体を覆ってやると、ジュンヤは深く息をついた。 「 今度は本当にヤバいかと思ったよ 」 と小さく呟く。 「 なに言ってるんだ?」 「 この間は階段から突き落とされたし、まさかナイフ持ってくるなんて 」 「 え?なんの話しだ?階段から突き落とされたって 」 肩を震わし眼は瞬きもせずにジュンヤを見つめる潤は、 「 違う、違うから 」 ずっと言い続けている。 兎に角ジュンヤに服を着るように言って、もう一度今度は落ちていたバスローブ紐を使い身体の前で手首をしっかりと縛った。 「 なんで縛るの?」 罪の意識はまるでないように言うその唇は真っ青だ。 「 お前、自分が何をしようとしたか分かってるか?」 と聞くと、首を振る。 「 だって、だって、りんごを剥こうとしただけなんだよ……」 「 りんご?」 テーブルの下を見ると確かに紙袋からりんごが顔をのぞかせている。 どうやら買ってきたのはそうらしい。 髪の毛を拭きながら戻ってきたジュンヤは、 「 そいつ、もともとストーカーなんだよ 」 「 ストーカー?誰の 」 「 俺の 」 「 ストーカーなんかじゃないよ、恋人だもの 」 益々混乱してきた。 「 一緒に住んでるって言ってなかったか?ストーカーと住んでたのか?」

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