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第205話
あの頃の気持ちに(ジュンヤ)
その58
俺と星矢は従兄弟同士で血液型もB型で一緒だった。
AB型の香織から、
A型のジュンヤが産まれたのだから産まれた時には星矢の子として何も疑うこともなかった。
ジュンヤは俺の子って事もあるのか?
何回か頭を過ぎったそれ。
急性白血病で星矢が急逝し星矢の下方に向かっていた事業も残されたて、幼いジュンヤと哀しみの中途方にくれた香織が頼ったのは俺だった。
俺も純粋に俺に頼った香織と二度目の恋愛に没頭する事になんの異存もなかった。
ましてや星矢の忘れ形見。この二人を守る、そのことがどこか三十を超えて男として自信を得ていた自尊心を満足させるものでもあった。
しかし、二度目の失敗を繰り返した俺は結局香織とジュンヤを手放す事になる。
あの別れの時の心の痛みは今でも俺にチクリとその棘を残している。それは勿論、中途半端に手放したジュンヤとの別れ。
ジュンヤと俺がどこか似ているのは星矢と従兄弟だったせいだとみんなが思っている。今でもそうだ。
本当にそうなのか?
青木星矢の墓前で、
俺は今日そのことに見切りをつけに来た。
もう、そんなことは調べる必要もない。
ジュンヤが誰の子でもどうでもいい。
俺にはジュンヤが必要でもう離せない。これだけが確かなことなんだから。
今日はお前にそのことを宣言しにきたんだ。
ジュンヤは俺が貰う。
長い間お前を苦しめたのかもしれない事実も俺は一緒に抱えてジュンヤと生きていくよ。
「 ごめんな星矢 」
俺はもういっぱいスコッチをショットグラスに注ぎ飲みほした。
遠い空には手を伸ばせば届くその先の未来。
俺はそれをしっかりと握りしめる事に決めたんだ。
それが俺の最後の
One important thing、
二度と同じ過ちは繰り返さない。
もう俺には時間もないしな。
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