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第5話

ロックの日に その5 地下室は20畳ほどの部屋で、 グランドピアノやドラムセットまで置いてある。 そのドラムの前に腰かけた菅山先生、おもむろにスティックを掴んで、軽く鳴らし始める。 確かにカッコイイ… まるで教頭ではないみたいな。 長野さんがギター、 加藤さんがベース、 山内さんがピアノ?じゃなくてキーボード。 音合わせのようなチューニングのような。 音楽はチンプンカンプンの俺にはなにやらさっぱり分からないけど、 段々、勝手な音たちが1つのメロディ〜になって来た。 へーなんかで聞いたことある。この曲。 「これはさ、イエ◯の、Owner Of A Lonely Heart 」 聞いた事あるだろ? と菅山先生が声をかけて来た。 「はい、なんとなく、知ってるかも」 と返すと嬉しそうな笑顔になった。 この人、意外とハンサムなんだ。 顔なんてじっくり見たことはなかったけど、こうしてみると4人ともかなりレベルが高い中、更に. 2時間ほど楽しそうに、曲を変えて演奏していた、4人は 休憩をやっと取るよう。 もう、と時間を見ると 11時過ぎ。 「菅山先生、俺、もう遅いので帰ります。」 「え?ダメだよ、今から月見ながら宴会するんだよ。」 「月見?」 「そうそう、今晩はストロベリームーンとかいう、月だったね〜」 「へー最近では月にそんな名が付いてんの?」 「ああ、恋愛成就の月らしい」 とこれまた、50男とは思えない会話で、のんびりとみんなで、エレベーターで三階に上がって行く。

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