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第7話
ロックの日に その7
屋外の庭園のデッキに出ると、
そこはもう、うす〜いピンクの大きな丸の月を真正面に、いつ用意したのか、床に敷かれた敷物の上には、ツマミがずらっと並んでいた。
菅山先生の隣に座らされて、グラスにはワインを並々と注がれ、
満月のピークは過ぎていたけど、
ぽっかりとなんだか不安定に浮いた、
腰の軽そうないでたちの月、見する。
す
菅山先生の小指がさっきから俺の指に少し重なってるのは、なんでだ?
絡められるような節高の指。
俺より一回り大きい手のひら、
軽く載せているようでも、
動かせない俺の指。
そこばっかり意識がいって、月なんて半分も見てなかった。
勧めてくれるツマミも指が気になって食べれない、ワインは少し飲めば次々と注がれる。
ほろ酔いだ〜
隣はバッカスの王みたいな、体格の良いオヤジ。
酔ってきたついでに隣のオヤジに聞いて見た。
「なんで、今日はおれ、ここに呼ばれたんですか?」
一瞬、キョトンとしたオヤジの言った言葉。
「イヤー俺のこともっと知ってもらおうかと思って…いろいろモーションかけてるのに、全然気がつかないみたいだからさ」
なんだ?モーションって?
何に気がついてない?
全くわかんない俺に
そして、隣の隣のオヤジから一言
「口説いてんだよ、こいつ、
三枝君に惚れてんだって!」
固まった俺の指を、持ち上げ、
軽くキスをしながら、
隣のオヤジの言った
最後の一言
「俺さ、もう少ししたら定年じゃん?
後暫くしか、ヒロシと一緒にいられないから、今日は思い切って告白しようとね、それで、まず俺の趣味から……」
ヒロシ?急に何?名前呼び、?
なーんにも聞こえない、なーんにも聞こえてこない、
耳栓を三重にした俺は、
触れられてた指を払い、
一目散に屋上庭園から逃げ出した。
ロックの日なんて、くそくらえーー‼︎
次の日、土曜講習の日
ケロっとした顔で
話しかけてくるオヤジに、釘をさす。
「教頭先生
俺には大きな子どもが2人もいるんです。」
「え?関係ないよね、もう成人でしよ?」
ムー、
「俺には交際してる人がいるんです。」
「そっか、じゃあ、乗り換えてもらえるよう、がんばるよ!チュッ💋」
って、額にチュッて(呆然)
あー〜噛み合わん、ついでにすれ違い際に尻までじっくり揉まれた。
それから、開き直った、オヤジの猛攻はすごかった…
end
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