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第10話

a memory from summer no.3 恋人編 その2 じっと見られている。 横顔をじっと。 どうして? と尋ねれば良いのに、 2人になるとそれが恥ずかしくて言えない。 頰が勝手に熱くなってくる、わかっているのに声をかけてくれない。 『意地悪だな……』 呟いたつもりが音になって、漂う。 『あなたを見つめているのが、意地悪なの?』 軽く笑いながら、手をのばし肩を引き寄せる。 男が女にする様な行為を、俺は、待っている。その自分に少し呆れる。 ため息をついた俺に、 諦めて……と 傾けた頭に顎を乗せて、 肩の手はいつの間にか腰に廻った。 好きなのに、愛してるかどうか、自問したくない自分。 どうしたって、積み重ねた年齢が "未だ" 邪魔をする。 未だ?未だ⁇って、なんだ? 腰を抱き上げ、俊の太腿の上に俺は移動する。 腿の付根辺りで挟んだ、俊の局部の盛り上がり、そして布ごしの熱 に、胸が騒ぐ。 抗いは無用な力で下げられる、下衣。 肌蹴られる上半身は異性でもないのにさらけ出される乳首を捩って遊ぶ指の先に悶える。 俊の上、肌を露わにし跨りながら、 その先は全裸、にされ、心の中まで剥かれていく。 未だ?って、どうして? その上には、全てを棄て、委ねるって選択があるの? どうしたんだろう。俺は最近変だ。 「考え事?良くないな……」 と語りながら、俺の皮被りの性感を探り、蜜を暴き、愛してるか、と伝える指と手と唇と身体と…… そのうちには、何もかも忘れて、夢中になる。 わかってる、俺ももうすぐだから…… そのための未だ、なんだ… … 背後から再び許すとき、 頸に流れる汗に、冷たい歯が触れた…… オンユアマーク、 今夜は君に与えよう。 未だ、俺は…… 大丈夫、この夏は未だ、大丈夫。

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