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第12話

a memory from summer no.5 職場編 その3 俺は京都に着くまで、3時間ほど熟睡をしていたらしい。 「疲れてたの? 昨日の夜は遅かった?」 非常に答えにくい質問に 「ええ、まぁ、ちょっと」 と、完璧に寝落ちした心苦しさで。 「夏期講習の問題を少しいじってたもので、夜更かししてしまって」 とか、多少の嘘も交えて(夏期講習の問題をいじってた、というのは本当の事、でも一昨日夜中過ぎまでパートナーとグデグデで、その寝不足が昨夜まで繋がって、とも言えず) 「ふーん、夏期講習の問題ねえ」 教頭先生、信じてなさそうな返答だな。 そして、昼には京都の研修施設に、と、思いきや、車を清水寺の前の駐車場に止めて、向かった先は、清水寺横の通りを入った、うどん屋だった。 「ここのうどんは薬味が特別てんこ盛りで、上手いんだよ」 昼時、列はできていたけど、交代のお客も多く、割とスムーズに座敷に通された。 「先生ビールは?暑かったし、目覚めの一杯?どう?」 「なに言ってるんですか、 車でしょ!」 「いや。先生だけでも、 俺のことは気にしないでさ」 さっさと、ビールと、 生麩の味噌田楽やら、鳥の山椒焼きやらのつまみを 「これ。美味いんどすえ〜」 と、勝手に選び、さらに天ぷら付きのざるうどんまで2人分。 お品書きに指さしながら、作務衣を着た女の子に付け焼き刃の京都弁で冗談を言いつつ、楽しそうに注文頼んだ教頭先生。 料理を待つ間も、前回京都に来た時に、乗ったタクシーの運転手と京都検定問題出し合って熱くなった話で盛り上がっていて、 なんだか……少し可愛い。 うっ。俺、おかしいぞ、この人が可愛いなんて、思わず湧いた気持ちを自制した俺だった。

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