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第17話

a memory from summer no.10 職場編 その5 「 もう、あった途端、驚かせんな 」 「 ふっ、悪い悪い いや、失礼しました。 つい、口が滑った 」 まるっきり悪気がなかった様に俺に手を差し出してくる。 色々モヤモヤしたけど、そこは社交辞令。 俺の方も彼をじっくりと観察しながら、握手を交わした。 1番慌ててるのが教頭先生。 ブツブツと青木さんに文句を言いながら、 「 兎に角部屋に行くから、アオこの辺で待ってろ 」 「 なんだよ、水臭い、一緒に行くわ 」 と、後ろから荷物をラゲッジカートに載せてやって来たベルボーイに部屋番号を勝手に聞くと. 先頭に立ってエレベーターの方へ歩んでいった。 流石教頭の知り合い、強引な人がここにもいるわ。 ある意味関心半分呆れ半分な俺と、そのまま揚々と先にたってエレベーターに乗った青木さんにまだ文句を垂れてる教頭先生。 ベルボーイの お部屋は8階でございます。という声を聞きながら、でかい男2人とカートと俺とで一杯になったエレベーターは何かとても窮屈だった。 円形の建物に沿った中廊下はやはり円で一周できる様になっていた。エレベーターホールから右手に回る様に進み820と書かれたドアを開け、部屋に入る。 「 なんでお前が先に入るんだ 」 「 成り行きだ 」 「 あれ?ベッドがない、なんで? 」 「 こちらはスイートルームになっております。 こちらのドアの先がベッドルーム、 ベッドルームにバスがはついておりますが、こちらの居間の方にも化粧室がございます 」 カートから荷物を降ろしながらベルマンの説明が続く。 「 スイートルーム⁇え? 」 「 他に何かございましたら、遠慮なくフロントかコンシェルジュまでお伝えください、こちらが鍵でございます。 このフロアにご宿泊のお客様専用のクラブラウンジが1階にございます 」 その後ひとしきり館内の説明をすると、ベルボーイが去っていった。 説明のあいだ我慢していたのか、青木さんが腹を抱えて笑いだした。 「 お前、スイートルームって、わかりやすい 」 それまで元気に文句を言っていた教頭先生は急に静かになってしまった。 俺の方もこの部屋の意味は絶対に説明してもらわなきゃ、おまけにベッドルームは、 新婚向けと言われてるハリウッドツインなんだぞ!

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