23 / 207

第23話

a memory from summer no.16 職場編 その9 教頭先生の無言の熱い眼差しに思わず気押され、後ろに下がった俺はスリッパに足を取られてよろけた。 ソファに手をついてころげる事はなかったけど、勢いでソファに仰け反りながらドスンと腰を下ろした俺の姿は、まるでローライズのブリーフを見せびらかすように脚を大きく開き腰を上げ、教頭先生の目を釘付けにしてる。 まずいこの格好……と思いつつも、高級そうな鞣し革で作られたソファはツルツルと滑り、突き上げてしまった腰を中々下げる事が出来ない。 力が上手く入らない腕と脚でもがいてる俺にバスローブを着せ掛けた教頭先生が視線を外しながら、 「 大丈夫だ 」 何が?大丈夫なんだ? 態勢を直し、 バスローブに手を通しながら思ったけど、 「 すみません、俺、ぬがしてもらったんですね 」 と聞くと、 正面から見るのを避けるように顔を横にした教頭先生。背けた顔が僅かに赤くなったようだ。 「 先生、息が少し荒かったし、 服着たままで、寝かせるのもきつそうだったからな、 いや、脱がせるときには、俺1人じゃなくて。隣の部屋に青木もいたし。 服はクローゼットに掛けてある 」 言い訳がましい言い訳に ぶっと笑いそうになったが、 我慢してもう一度、 すみませんと誤った俺に、 「 明日は無理だったらここで休んでればいい 」 と言いながら、俺の裸足の足の前にかがんでスリッパを置いてくれた。 「 明日、大丈夫だと思います。予定通り9時からの講習受けますから 」 「 そうか?無理はするなよ……」 その後に続く言葉を濁した教頭先生。 ん?と思ったけど、かがんだまま、俺の膝のあたりをじっと見つめている。 どうしたんだろう、膝の奥がムズムズしてきた。

ともだちにシェアしよう!