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第23話
a memory from summer no.16
職場編 その9
教頭先生の無言の熱い眼差しに思わず気押され、後ろに下がった俺はスリッパに足を取られてよろけた。
ソファに手をついてころげる事はなかったけど、勢いでソファに仰け反りながらドスンと腰を下ろした俺の姿は、まるでローライズのブリーフを見せびらかすように脚を大きく開き腰を上げ、教頭先生の目を釘付けにしてる。
まずいこの格好……と思いつつも、高級そうな鞣し革で作られたソファはツルツルと滑り、突き上げてしまった腰を中々下げる事が出来ない。
力が上手く入らない腕と脚でもがいてる俺にバスローブを着せ掛けた教頭先生が視線を外しながら、
「 大丈夫だ 」
何が?大丈夫なんだ?
態勢を直し、
バスローブに手を通しながら思ったけど、
「 すみません、俺、ぬがしてもらったんですね 」
と聞くと、
正面から見るのを避けるように顔を横にした教頭先生。背けた顔が僅かに赤くなったようだ。
「 先生、息が少し荒かったし、
服着たままで、寝かせるのもきつそうだったからな、
いや、脱がせるときには、俺1人じゃなくて。隣の部屋に青木もいたし。
服はクローゼットに掛けてある 」
言い訳がましい言い訳に
ぶっと笑いそうになったが、
我慢してもう一度、
すみませんと誤った俺に、
「 明日は無理だったらここで休んでればいい 」
と言いながら、俺の裸足の足の前にかがんでスリッパを置いてくれた。
「 明日、大丈夫だと思います。予定通り9時からの講習受けますから 」
「 そうか?無理はするなよ……」
その後に続く言葉を濁した教頭先生。
ん?と思ったけど、かがんだまま、俺の膝のあたりをじっと見つめている。
どうしたんだろう、膝の奥がムズムズしてきた。
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