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第29話
a memory from summer no.22
職場編 その15
午後の講習は夏の受験指導というありがちな題だけど、そこは有名進学塾の企画。
今までの学校現場での指導の欠点、新しい指導の実践、その為の教える側への要求。
俺たちベテランにはマンネリ化を防ぐ、そして辰野君達には1番伸び代のある受験生の夏という重い課題。
ほとんど5時間弱の講習で流石にヘトヘトになった。
終わった時思わず2人でため息ついた顔を見合わせて笑ってしまった。
「 三枝さんでも、疲れましたか? 」
「 でも?ってどういう事? 」
「 ベテランの先生には知ってることが多いのかと思って 」
「 知ってることなら講習に京都まで来ないよ 」
と笑いながら言うと、
「 じゃあ、新旧情報交換のために夕飯行きませんか? 」
「 え?君と? 」
「 はい。昨日宿泊するホテルでこの講習に来たっていう人たちと一緒になって、じゃぁ今日終わったら懇親でも、という流れになって。
三枝さんも一緒だったら、面白いかな?って 」
「 へーホテルで……私なんか混じったら固くならない?若い人は若い人達だけの方が 」
「 いえ、それが年齢はバラバラなんです。僕が1番下かな、後のお二人、僕より少し先輩が1人ともう1人の方は三枝さんに近いかも 」
へーと言いながら、俺は1人じゃなくて教頭先生と一緒なんだけどな、と考えていると、
教頭先生が講義室に入ってくるのが見えた。
「 お疲れ様、今日は終わったね 」
「 はい、お疲れ様です 」
ふっと俺の側に立つ辰野君を見やり
こちらはと目で尋ねる。
「 ああ、辰野君です。同じ講習受けて、
辰野君、こちらは私の学校の教頭の」
「 菅山です。あなたは……どちらの学校ですか? 」
俺はその急に不躾とも聞こえる質問にびっくりした。
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