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第31話
a memory from summer no.24
職場編 その17
待たすのも悪いので、
今夜は、と断りを入れる。
残念そうな辰野君と別れて、俺は不機嫌だった。
連絡先は交換したから、後からでも連絡するかなと思っていたら、
青木さんを連れてホールを出て行った教頭先生が帰ってきた。
「 断るから 」
「 え?」
「 青木の話は断るから 」
「 なんでですか?先生の今後に大切な人に会わせるって 」
1つため息をついてから教頭先生は
「 とにかく、もういいんだ 」
「 先生、私は私で懇親を深めてみたい相手もいます。先生は先生の都合で動いてください。
たった丸2日しかない講習です。
知り合う人とは知り合った方が良いと私は思います 」
私という主語で珍しく強く言い切った俺に、教頭先生は眼を見張った。
言い過ぎたかなと思ったけど、出てしまった言葉は戻らない。
具合の悪かった俺に気を使ったのかと、イライラしたのも事実だけど、青木さんの顔の広さ、確りとした考え方に教頭先生も考えてることがあるならぶつけた方が良いと思ったのも事実なんだ。
チラッと見えた教頭先生の講習は、地域の子どもたち、学習の遅れた子、
母子家庭父子家庭で生活がままならず学習まで行かない子を地域でどう守っていくかという、俺たちの講座とは全く異なった社会性の強い講座内容だった。そして青木さんが合わせようとしてるのは文科省関係の人。多分、教頭先生に顔つなぎさせようとしているんじゃないのかな?
そんな機会を俺のために潰させるなんて、冗談じゃない。
何も語らない教頭先生に、俺は、
「 俺のことなら大丈夫です。
今日知り合った若い先生たちと夕飯を食べますから 」
と、最後にそう伝えてホールを後にした。
外に出て直ぐ辰野君に連絡した。
一緒に夕飯を食べることを伝えると、嬉しそうなのが丸わかりの声で待ち合わせの場所を教えてくれた。
辰野君と、同じ講習受け知り合いになった人が後2人ほど参加するようだ。
教頭先生の事は気になったけど、今夜は忘れよう。
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