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第33話
a memory from summer no.26
職場編 その19
翌朝、隣のベッドはやはり綺麗に整えられたまま誰も寝た様子はなかった。
2日続けて?
流石に憤った俺は教頭先生に一言言うべく、居間へ通じるドアを勢いよく開けた。
長ソファの上には毛布がぞんざいに畳まれて、そこに寝たはずの主はいない。
ランニングに行ったのか……
昨夜は何時に帰ってきたのかわからないから、どのくらい身体を休めてのかもわからないが、身体に悪い事をしているのだけは確か。
それが俺のせい?俺のせいなのか?
無性に腹が立ったけど、相手がいないから当たることもできやしない。
苛立つ気持ちを抑えるために、冷蔵庫を開けて、水を出している途中ドアの開く音がした。
「 よう 」
ペットボトルを持ったまま、振り返った俺に声をかけてきた教頭先生は、俺の手にあるそれを指差して、
「 すまん、用意がいいな 」
なんてとぼけたことを!
汗まみれの教頭先生にペットボトルを渡しながら、やっと皮肉のひとことを言う。
「 寝なくて平気なんですか?
年寄りの冷や水は身体を壊しますよ!
だいたい毎日毎日、こんな立派な部屋取ってるのにどこに寝てるんですか。
勿体無いことこの上ない!
朝起きて隣のベッドに寝た形跡がないのを確認する俺の気持ち、考えてるんですか? 」
一気にそれだけまくしたてると、びっくりした顔の教頭先生がひとこと。
「 え?心配してくれてるの? 」
開いた口が塞がんないとはこの事だ。全く、幾つなんだこのオヤジ。
と心の中で毒づく。
「とにかくですね、いいからシャワー浴びてきて 」
とっとと教頭先生を浴室に押し込んだ俺は、朝の支度するべく深呼吸をする。
支度が終わり備え付けのコーヒーが落ちた頃、教頭先生がネクタイを締めながらベッドルームから出てきた。
コーヒーを注いで渡すと、
「 ありがとう……
あのな、今夜は最後だから青木が一緒に飯食おうって言ってるから 」
「 青木さんが?ですか? 」
「 いや、一応、俺も最後の夜は一緒に………と考えてたんだけど 」
意地悪したくなって、言ってみた。
「 2人きりで、じゃなくて、良いんだ……? 」
コーヒーで噎せてる教頭先生を見て、俺は少し留意を下げた。
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