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第34話
a memory from summer no.27
職場編 その20
講習2日目は益々内容も濃く掘り下げられた。
隣の辰野君もアップアップらしく、
短い休憩も内容をさらっている。
さすがにトップクラスの進学率を誇る、大学入試にも関与してるんじゃないかと言われている塾に相応しい講習内容の濃さ。
お昼の弁当を食べながら昨夜の4人で、色々気になったところなど話し合う。辰野君たちは講習が終わったらその足で帰るということだった。
それなら話せるのは今の休憩時間だけだと、残り15分くらい時間があるので辰野君とホールのコーヒーベンダーに向かう。
「 三枝さんは今日も泊まりですか? 」
「 うん、教頭先生の車で来てるから、もう1日泊まってから帰る予定だと思う 」
「 教頭先生とは…… 」
とそこで言葉が切れたので、
「 うん? 」
と辰野君の視線の先を見ると、コーヒーベンダーの前のテーブルに教頭先生と青木さんが座っているのが見えた。
俺たちに気がついた青木さんが、
「 仲良くコーヒーブレーク? 」
とか、又余計な言葉を足すものだから、ムッとした俺は、
「 そちらこそ、仲良くですね。
青木さんは今日も講義があるんですか? 」
「 ああ、こっちのカリキュラムの方で午後からと、最後にみなさんにお別れの挨拶があるしね。
そうだ、菅山から聞いた?昨日は悪かったね、菅山借りちゃって。お詫びも兼ねて今晩は白川の旨い店に案内するから他の人と約束しちゃダメだよ 」
と笑いながら言ってくる。
牽制されたのがわかった俺は、
「 最後、ですからね。ちゃんとご一緒します。それではあとで 」
と最後を強調して2人ぶんのコーヒーを持ってきた辰野君と少しは離れたテーブルに座った。
辰野君はびっくりしたようで、
「 青木さんとお知り合いですか? 」
「 あ、うん。うちの教頭先生の古い友達らしい 」
「 教頭先生の友達?ずいぶん仲よさそうですね 」
「 いやいや仲は別に良くないよ。
なんでか、ひとこと余計な言葉を挟んでくるから、ついね 」
不思議そうな顔をしてる辰野君を強引に他の話題で誤魔化した。
言えるわけないじゃないか、俺と教頭先生の間を変に誤解してるようだなんて。
そして、じっとこちらを見る教頭先生のことは気づかないふりをした。
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