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第38話

a memory from summer no.30 職場編 その23 カウンター割烹 「 おっ、先付、蓋つきのうつわ? 」 と何かを期待し笑顔の教頭先生に 「 本日の先付は 南禅寺蒸しと、和牛炙り寿司です。 水ものばかりめしあがる夏ですから、少し先にご飯もの入れて、お腹をびっくりさせないように」 とにこやかに笑いながら店長さんが応える。 先付にお寿司、それも和牛の 小ぶりで指を誘うようなその姿。 「 おう、南禅寺蒸し、冷やしてあるのか 」 と青木さんは嬉しそうに蒸し物から手をつける。 俺も 「 頂きます 」 と、まず和牛の炙り寿司から。 美味い! 年甲斐もなくはしゃぐような声をあげた俺を嬉しそうに見ながら、 「 炙ってるから脂も落ちてるし、肉の旨味が厚くなって、飯によく合ってる 」 先生がそう感想を言うが、全くその通り。肉の上にスッとのせられたわさびも風味を増すのを手伝ってる。 南禅寺蒸しに添えられたスプーンを取ったところで、 「 菅山、ここに来たの春以来か? 」 「 そうだな、今年は花見時期ずれたろ、四月あたまに来た気がする 」 「 菅山さん、そうですね、市内の桜の蕾がまだ固い頃見えましたね 」 「 三枝君は京都で花見したことある? 」 「 僕ですか?」 蒸し物は豆腐を材料にした茶碗蒸し?上品な甘さを葛あんで覆って、なんとも言えず優しい、舌が喜ぶなんてこういうこと?と思いながら 「 僕は見たことないです 」 「 へぇ~、菅山誘ったら良かったのに 」 「 俺たちは花見の時期、仕事が忙しいからな 」 青木さんと先生は殆ど食べ終わり、美しい翠色のお皿が残っているだけだ。 グラスのビールを空け、 俺は最後に1つ残した炙り寿司を楽しんだ。 しかし、舌が喜ぶのは、まだまだ序の口だった。 ーーーーーー 料理の画像はアトリエブログの最初の頃に入れてあります。 美しい盛り付けなので是非ご覧ください。 あくまでも、私が通っているお店の個人的な感想です。 間違いがありましたら、何なりとm(__)m

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