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第42話

a memory from summer no.35 職場編 その28 カウンター割烹 料理長 前に一升瓶が一本置かれた。鱧すきを味わいながら、酒の説明を聞いてる2人は、割烹料理屋のカウンターで、店長を相手に会話する姿が堂々として板についているように見える。 酔ったかな……でもこの2人の場を圧する迫力は確かにあると思った。 「 奈良の原酒の春鹿鬼◯。超辛口です、飲んでみてください 」 グラスに注がれた色はすこし黄みがかった色。日本酒の香りは嗅ぎ分けにくいが前の酒と少し違うことはわかった。 早速口をつけた2人は、 「 これはまた、すっとした強さがあるね 」 「 これから先の料理にはこのくらい靭いのがいいんだろうな 」 カウンター奥の調理場から1人の恰幅の良い男性が出てきた。 「 ようこそ、いらっしゃいませ 」 前の青木さんの言葉を引き取るように 「 そうですね、次は油物 揚げ物が出ます、鱧すきの濃厚な味わいを楽しんだ後に一回口の中を替えるのにもちょうどいいと思います 」 「 田島さん。今日の鱧、美味かった 」 「 そうですか、良かった。いらっしゃると聞いていたので 」 「 刺身も 落としも良かったよ。どこの鱧なの? 」 「 最近鱧は韓国がいいんです。日本のより良いものが上がるようです 」 「 え?韓国に鱧? 」と聞いてしまった俺に 「 はい 」 とにこにことしながら話すこの人は? 「 三枝くん、料理長の田島さんだ 」 「 あ、三枝です。ご馳走さまです 」 「 お口に合いましたか? 今日は松茸も上物出回ってきたので、鱧すきに添えてみたんですが、 汲み上げ湯葉と、どうでしたか?」 俺に聞かれてる。 「 はい、こんなに美味いのは初めて、だと思います 」 つたない感想を嬉しそうに頷いてくれた。 しばらくの間親しそうに会話して、 「 じゃあ、最後までゆっくりと楽しんで行ってください 」 揚げ物が用意されたのを確かめながら 厨房に下がっていく。 青木さんが、 「 田島さんはいいもの仕入れる力があるんだ。三枝君料理は仕入れの力が大切でね、この人なら良い食材渡してもって人には食材が集まる。特に京都は周りから食材を持ってこなくちゃならないから、その力が大切なんだよ」 酒を飲んでも呑まれちゃいないオヤジの言葉 だった。

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