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第43話

a memory from summer no.36 職場編 その29カウンター割烹 油物 「 どうぞ、甘鯛の天ぷらそれに夏野菜を入れたマヨソースをかけてありますので、そのままお召し上がりください 」 回りは深い織部色、中に青色をさしてある器に夏の野菜が彩りよく刻んでソースになっている。 「 甘鯛か、うん、ソースの中の野菜の歯ざわりが良く合ってるな 」 青木さんの言葉を追うように 思ったままが口からこぼれた。 「 揚げ物なのに色味がカラフル 」 酔ってるかなと感じたのか菅山先生が水を頼む。そんなに酔ってる?って横目で先生を見やると すこし睨むように俺を見て 「 そんな眼、するな ……」 と呟くように言った。 「 最後に出さしてもらうのに、ご飯を炊きます 」 と板さんが小さな釜をカウンターに置いた。軽く傾けて見せてくれた中身は、 「 鮎と生姜の佃煮を炊きます 」 早速バックカウンターに置かれているコンロの上に乗せられ、火がつけられた。 「 ところで、今回はいつ帰るんだ? 」 と青木さんが菅山先生に聞くと、 「 明日、帰るよ 」 「 暑いからな、この暑さじゃな、観光して、でもないかもな 」 「 明日朝は、体調いいなら池のまわりを回ってみよう 」 「 池?ホテルの所の? 」 「 そうそう 」 「 宝ヶ池のまわりか?懐かしいな、 まだあそこにあのでかいアヒルいるのかね 」 「 アヒル?ガチョウだよ、いや、死んだみたいだな、なんか貼り紙がしてあったよ…剥製にされたらしい 」 「 青木さんも、池の周りを走るんですか? 」 と俺が尋ねると、 「 うん、前はこっちに来るとあそこのホテルによく泊まったからな 。 泊まった時には朝走るのにちょうど良いし 」 「 今回アオはどこに泊まってるんだ? 蹴上か?」 「 いや、付き合いがあって鴨川沿いのホテルにだよ 」 「 一昨年建て替えが、あったところか 」 「 そう、外国資本が気張って建てたホテル、贅沢なホテルだよ。鴨川側には滝まで作ってある 」 「なんだ、昔を思い出して、見学目的で泊まったのか?」 「 まあな 」 なんだろう?昔って。 話しをしながまた酒のお代わりをしている2人。 店長さんに代わりの酒を聞かれた俺は 迷わず首を横に振った。 「 もう、はいりません 」 ーーーーーー 料理の画像はアトリエブログの最初の頃に入れてあります。 美しい盛り付けなので是非ご覧ください。

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