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第44話
a memory from summer no.37
職場編 その30 カウンター割烹
閑話 青木氏の過去
次は酢の物が出るというので、
先生と青木さんはしっかりとした強めの酒をお代わりしていた。
バックカウンターで、湯気を上げ始めた鮎の炊き込みご飯の釜を眺めながら、
青木さんの昔を、というのが気になった俺は酔いのせいもあって問いかけた。普段は聞き流すことだけど、
おいしい料理とうまい酒は人の口を饒舌にするのかもしれない。
「 青木さんは、前に違う仕事をしてたんですか? 」
「 俺?この仕事する前ってこと? 」
「 はい 」
「 随分前の話だな 」
と軽くうつむきながら鼻の下に人差し指の関節を添えて、ひと息ついた。
「 俺と菅山はおなじ大学の同窓だけど、学部は違ってた。
菅山は経済学で、おれは建築工学。
まあ、ある場所で仲良くなったから大学自体はあまり関係ないけど 」
「 ある場所って? 」
「 ロックフェスの会場だよ 」
と先生。
それはあり得る。青木さんを見てそんな感じはしないけど昔のことだしね。
「 勘違いするなよ、俺は会場設営のアルバイトで行ってた。で菅山は参加者というか、助っ人?だった? 」
「 ああ、知り合いのバンドのドラムが出れなくなって急遽かり出されたんだったな 」
「 それで……とちょっとしたステージの事故があってその後始末してる時に知り合ったんだよ 」
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前回の"鮎と生姜佃煮のご飯"
炊き込みご飯の火にかける前の
写真をアトリエブログに載せます。
これがじつに香ばしく美味しく炊けるのですw。
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