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第58話
a memory from summer no.51
恋人編 その12 (職場編 その44)
驚いたのは教頭先生だけで、俊の方はゆったりと組んだ足をかえ、
「 そういうと、思ってましたよ
それで ?」
と声の調子が変わる。
「 で、何時頃、出る予定なんですか? 」
とその言葉は教頭先生に向けられた。
「 え?何時…… 」
言葉を詰まらせた先生は
「 いや、そこまではまだ 」
「 何時でもいいだろ?車なんだから別に時間には縛られないよ 」
と俺が口を出す。
「 菅山先生の車、"すごい車" でしたね。見たいな 」
「 え! 」
そこにいくとは思わなかった。
「 俺の車の話? 」
「 ええ、ヒロシさんが褒めてましたから、どんな"すごい"車なのかなと 」
話したの?という目線をこちらによこす教頭先生に
俺は曖昧に頷く。
「 えっと、なんて名前でしたっけ? 」
「 ベントレーだ 」
「 へー、それはそれは、名車だ。一度は乗ってみたい車ですね 」
俊が少しこわだかに答える。
「 GTですか?それとも今はやりのSUV? 」
「 GTの四駆です。乗りますか? 」
「 できれば 」
え?え?何言ってんの?
思わぬ発言に驚く俺は、
「 俊、何言ってんだ。車の話より…… 」
「 やあ…みなさん、おはようございます 」
誰?
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